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好きっていうかなんていうか
第173話
しおりを挟む「…あのさ、大坂楓って子、知っとる?」
恐る恐る、尋ねた。
でも期待はしていなかった。
なんでかって言ったら、アイツが寝泊まりしてた部屋が、なんの痕跡もなく元通りになってたからだ。
ゴージャスな敷布団まで用意して至れり尽くせりの感じだったのに、気配すら残ってなくて。
ここが違う世界だと考えれば筋は通る。
だけど、その場合、2人はアイツのことを知らないんじゃないか?
ただの勘だが、そんな気がした。
「大坂…?」
ほら、やっぱり。
おかんも夏樹も顔を合わせて、誰?と聞いてくる。
知らないんなら別にいい。
正味、知ったところでって感じだ。
めんどくさいとかそういうことじゃなく、単純な話。
でも、じゃあどこに行ってるんだよって話なんだが…?
連絡先もわからないから、探すアテもない。
アイツの家は、…確か誰も住んでなかった。
今は大阪に住んでるって言ってたが、住所も何もわからないから、探しようがないしなぁ。
…うーん
「学校の子?」
「いや」
アイツのことはよく知らないんだ。
出会ってまだ間もないし、なに考えてんのかもよくわからんし。
とりあえず超能力が使えて、未来からやってきてて…
「友達?」
「ちゃう」
友達ではない。
そこだけははっきりしておこう。
アイツのせいで肩身の狭い思いをしてるんだ。
最近は朝が早いせいで寝不足気味になってる。
それだけじゃない。
チームはかき乱されるわ、平和な学校生活が脅かされるわ。
君たちがポンコツのせいで、散々な思いをしてるんだ。
わかってる?
見知らぬ人間を家の中に入れるな。
これ、鉄則な?
ましてや、部屋を貸し出すなんてもってのほかだ。
そこらへんをちゃんとしたほうがいい。
じゃないと、いつか犯罪に巻き込まれるぞ?
絶賛迷惑してる人間が、ここにいるわけだから。
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