雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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アナザーワールド

第167話

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 「大体、私が海に溺れたってなんやねん」

 「…せやから、小学生の時に…」

 「この通りピンピンしとるわ」

 「そう!せやからさっき嬉しかったんや」

 「聞いてや!さっきハグしてきたんやでコイツ」


 へぇ、と、さや姉は頬杖をつく。

 面白がっているようにも見えた。

 俺の話を、…というよりかは、俺と千冬とのやり取りを。


 「嬉しかったんやからしょうがないやろ!?」

 「なんやねん気持ち悪いなぁ…」

 「まあまあ、なにがあったか知らんけど、あながち亮の話も嘘やないかもよ?」

 「は!?何言うとんや姉ちゃん」


 さや姉は、俺が話してるうちにだんだん真面目に聞くようになってくれた。

 最初は千冬と同じく「何それ…」って感じだったが、途中からジュースまで注いでくれて。

 千冬は逆に、どんどん当たりが強くなってきた。

 言えば言うほど反論してきた。

 「あり得るわけない」って、俺の目を見て。

 気持ちはわかる。

 逆の立場だったら、多分、俺も反論してただろう。

 信じる方がおかしいわけで。


 だから俺もそれを承知で、わかりやすいように説明したんだ。

 説明できてるかどうかは置いといて、だな。


 「千冬はずっとあの病院におった。ずっとや。顔は痩せこけてて、…どう表現していいかもわからん」

 「それで、病院に?」

 「うん。騒がしくしてもうたけど」

 「病院におった…って、不吉なこと言うなや」

 「…すまん。でも事実なんや!信じられんかもしれんが」

 「海に溺れた…ねぇ」

 「まさか、本気で信じとるわけやないよな?」

 「でも、冗談言っとるようにも聞こえんし」

 「それはそうやが、そんな次元の話やないやろ?」

 「…うーん」

 「7月11日。あの日、千冬は海に行かんかったんか??小6の時や」

 「そんな昔のこと覚えとるわけない」

 「でも、日記書いとったやん?」

 「あれは夏休み用に書こうって思っただけで…」

 「そっか…」
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