雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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アナザーワールド

第160話

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 相変わらずスッキリとした部屋だ。

 言われなければ、ここが女子の部屋だということには誰も気づかない。

 ベットも机も、カーテンの素材も、“かわいい”っていう要素は1つもない。

 どこか大人びてて、服とかファッションには無頓着な感じの、いい意味でこだわりのない部屋。

 「女子の部屋」って、ぬいぐるみとか化粧品とか置いてそうなイメージだが、ここには無い。

 千冬はそういうのに興味はなかった。

 多分、だけど。

 小学生の頃の彼女しか知らない俺にとっては、想像でしかわからないことがある。

 考えたってわかんないんだ。

 俺と同じように高校生になった彼女が、どんなものに興味を抱いているかなんて。


 「あった!ほら、これ!」


 丸テーブルの上にバラバラっと置かれた卒アルに日記。

 全部小学生の時のものだ。

 日記は、小6の、夏休みの時の…



 「これで満足か?」


 俺の話を真面目に聞いてくれたおかげか、彼女は色々と出してくれた。

 写真があったら見してくれって言ったんだ。

 昔のことは、よく覚えてるから。


 卒アルを開くと、そこには千冬の姿があった。

 …思わず、目を疑った。

 だって、俺の知ってる彼女の姿が、そこには写っていたから…


 事故に遭って、入院して、それ以来千冬は病院にいた。

 だから卒業アルバムの集合写真には、欠席者扱いで右上に載せられているだけだった。


 …でも、彼女が出した卒アルには、そんな痕跡も、気配もなかった。

 元気いっぱいの笑顔でそこに写ってる。

 参加したはずのない文化祭の時の様子も、修学旅行の時の楽しそうな様子も。

 
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