雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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ここは…?

第132話

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 おま…もり…?


 サイドポケットのファスナーの金具に、ほつれかけの赤い紐がぶら下がっている。

 『必勝祈願』と書かれたボロボロのお守りが、キーホルダーみたいに取り付けられていた。

 そのお守りは小さく、『生田神社』の刺繍文字が入っていた。

 巾着の形をした、可愛らしいデザイン。

 手作り感満載の、シンプルな作り。


 俺は知っていた。

 その“お守り”を。

 神社のどこに売っているかも、“かわいい”っていう理由で、学生に人気なことも。

 バックの上で跳ねているそれを見て、ハッとなったんだ。

 どこかで見たことがあると思った。

 そしてすぐに思い出した。

 色違いのそのお守りを、俺も持っていたから。



 「 それ——」
 

 思わず声を上げてしまって、視線を近くに移した。

 やっぱり、間違いない。

 ボロボロだけど、この素材、この色、あのお守りで間違いない。

 所々補修してるみたいで、外袋の生地はもう、だいぶやつれていた。

 見た感じ、かなり古い。

 俺のより古いんじゃないか?

 バックなんかに取り付けてるから、すっかり日焼けしてしまってる。

 俺のその声に彼女は振り向いて、「何?」と聞いてきた。


 「…あ、いや」


 俺の視線に気づいたのか、彼女は「ああ、これ」と呟いた。

 そろそろ買い替えんとな、と、微笑みながら。
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