雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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ここは…?

第126話

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 ◇◇◇



……………………………………………………


………………………

…………





 「…おい、亮平!亮平ってば!」


 誰かが呼んでる声がする。

 電車に乗って目を瞑り、漠然とした意識の底で、長い時間が過ぎた感覚があった。

 女の声が遠のいて——


 …確か、…それから



 「亮平!」


 ハッとなって目を開けた。

 天井からぶらぶらと揺れている吊り革。

 蛍光灯の白い光。

 咄嗟に眩しいと思うと同時に、目を細めた。

 朝起きてカーテンを開けた時のように、ほとんど反射的に。


 「何ボーッとしとるん?」


 …へ?


 女はそこにいなかった。

 目の前にいたのは、見慣れない制服を着た女子高生…だった。


 「誰?!」


 目の前にいたその子は、確かに俺の名前を呼んでいる。

 だけど見覚えがなさすぎて戸惑ったんだ。

 長いまつげに、すっきりと整ったアゴ。

 センターに分けた前髪の奥で、凛々しい上目遣いの眼差しが、視線の真ん中に触れてくる。


 「は?」


 顔を強張らせ、ムッとこちらを睨んできた。

 くっきりとした瞳の輪郭は、怖いくらいに鋭かった。

 曖昧な線が1つもない。

 そう感じてしまうほど、均整の取れたキメ細やかな顔立ちが、隙間もなくぶつかってきた。

 俺はたじろいだ。

 そうするより他になかったからだ。

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