雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

文字の大きさ
上 下
114 / 394
ライバル

第113話

しおりを挟む

 まあ、しょうがないと言えばしょうがない。

 健太は元々中学で何もしてなかったし、キャッチャーに任命したのも、体格が良かったからっていう安易な理由だ。

 だからってコンバートする必要性があったのかというと、それはそれで疑問が残る。

 だって練習すればいいだけだし。

 健太なりに頑張ってんだから、もう少し長い目で見ればよかったんだ。

 健太の代わりにキャッチャーに指名されたのは俺だ。

 元々経験者だったからな。

 でも、エースの座を譲る気もなかった。

 別に思い入れはないが、こう見えても中学でエースだったんだ。

 女にその座を譲られるのは、なんか嫌だった。

 偏見じゃない。

 単純に嫌気が差しただけだ。

 確かに俺より速い球は投げる。

 変化球だって一級品だ。

 でも、あくまで女は女。

 公式戦には出られない。


 そもそもなんで野球なんかやってんだろうか?

 超能力のことと言い、普段の言動といい、全てが謎すぎる。

 千冬に投げ方を教わったって言ってたけど、仮にそうだとしても納得ができない。

 野球を本気でやろうとする女なんて、アイツくらいだった。

 普通の女子なら、野球なんてやらない。

 やったってしょうがないからだ。

 どうせ大人になるにつれて、夢を追いかけられなくなるんだから。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

真夏のサイレン

平木明日香
青春
戦地へ向かう1人の青年は、18歳の歳に空軍に入隊したばかりの若者だった。 彼には「夢」があった。 真夏のグラウンドに鳴いたサイレン。 飛行機雲の彼方に見た、青の群像。 空に飛び立った彼は、靄に沈む世界の岸辺で、1人の少女と出会う。 彼女は彼が出会うべき「運命の人」だった。 水平線の海の向こうに、「霧の世界」と呼ばれる場所がある。 未来と過去を結ぶその時空の揺らぎの彼方に、2人が見たものとは——?

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。

ながしょー
青春
 ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。  このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

乙男女じぇねれーしょん

ムラハチ
青春
 見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。 小説家になろうは現在休止中。

彼女は多分、僕の書く小説にしか興味が無い

御厨カイト
青春
僕の隣の席の小池さんは有難い事に数少ない僕の書く小説のファンだ。逆を言えばそんな彼女は僕の書く小説にしか興味が無いのだろう。だけど僕は何だかその関係性が好きだ。これはそんな僕らの日常の1コマである。

浦島子(うらしまこ)

wawabubu
青春
大阪の淀川べりで、女の人が暴漢に襲われそうになっていることを助けたことから、いい関係に。

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...