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ライバル
第108話
しおりを挟むいつからだったかな。
世界が変わってしまったのは。
いつだって前だけを見てた。
俺たちは。
明日何かできると信じて、ただ、闇雲に足を動かしてたんだ。
なんでもできると思ってた。
いつだってそうだった。
アイツの投げる球を見てたら、“甲子園に行く”なんて馬鹿げた夢も、いつか叶うんじゃないかって思えた。
「いつか、160キロを投げる」
そう言ったアイツの言葉が、どれだけ現実離れしてるかなんて考えなくてもわかることだった。
…でも、不思議と出してくれる気がした。
ストレートのサイン。
振りかぶった赤色のグローブと、背の高いマウンドの上で。
アイツがいなくなって、いつからか空を見上げるようになった。
意味はないんだ。
きっと。
ただ、雲の向こうに見える青い空に、俺たちの“夢”が続いてる気がした。
心のどこかで、わかってた。
「今日」に追いつこうとしてるアイツがいたこと。
いつだって、世界の「外側」に飛び出して行こうとしてたこと。
明日雨が降るかもしれない。
だから急いでグラウンドに行こうって、——振り返りもせず。
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