雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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というわけで

第103話

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 ◇◇◇


 「聞いたで?今めっちゃ盛り上がっとるらしいね」


 松村さんが朝から俺に聞いてきた。

 今、野球部は学校の話題になっている。

 あの女のせいで、色々とかき乱されてるからだ。

 もう2週間が経つ。

 松村さんはどんな感じ?と目を輝かせてるが、そんな良いもんじゃない。


 「最悪や」

 「え、なんで!?」


 そりゃもう色々ありまして。

 愚痴を聞いてくれた。

 ここ最近のこと。

 あの「力」のことについては言えなかったから、省略する部分は省略して。


 「…へぇぇぇ、甲子園出場ねぇ…」

 「な??おかしいやろ!?」

 「そう?素敵やん」

 「へ!?どこらへんが??」

 「だって、せっかく野球部作ったんやろ?目指すべきは頂点やろ!」

 「…うーん」


 言いたいことはわかるけど、頂点を目指せるような状況じゃないんだ。

 そりゃ松村さんは弓道で全国を狙えるくらいすごいけど、俺らはそんなんじゃない。

 野球経験者が2人しかいないんだ。

 高校から弓道始めた人が、突然全国には行けないでしょ?

 だから、簡単に言えばそういうことで


 「まあ、かなり厳しい戦いにはなると思うけど…」

 「やろ?おかしいねん。“戦い”っつーか、そもそもそんな土俵にも立てとらんし」

 「でも皆はやる気になっとるんやろ?」

 「…そうなんや。全然話聞いてくれんくて」


 女に良いように踊らされて、今じゃすっかりやる気になってる。

 土台無理な話だってのに、そこんとこ理解しようとしなくてさ


 「良いことやん」

 「どこらへんが?!」

 「だって皆頑張っとるわけやろ?行けるか行けんかはともかく」

 「…そうやけど、頑張ったところでって話や」

 「私は良いと思うけどなぁ」

 「えぇ…。松村さんまで…??」

 「逆に亮平君は何が不満なの?」


 …何がって、そりゃ、色々…
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