雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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嘘だろ!?

第80話

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 「驚いた?」


 …驚いた?


 …そりゃ、驚くに決まってるだろう。


 こんなのはあり得ない…


 …一体、なにが



 「未来から来たって言うたやろ?」

 「…未来?」

 「何百年も先の話や。私は、今よりもずっと遠い先の世界から来た」


 意味がわからなかった。


 …遠い先の、世界?

 何百年…?


 停止した先の世界で聞こえきたその言葉の歯切れたちは、混乱を加速させるには十分すぎるほどだった。

 女は俺の手を引っ張り、線路の向こう側を目指す。

 ほとんど何も考えられずに、異常な光景を目の当たりにしてた。

 線路を抜け、建物の間を通り抜けていくと、だだっ広い水平線と、ひらけた空が見えた。

 押し寄せる波は白い泡を放出しながら停止し、空は、すでに回転していない。

 波の音さえも聞こえなかった。

 雲の流れさえも失われていた。

 全てが息をしていないと感じられるほど、そこにはモノクロの静寂が流れていた。

 …いや、そこにはもう、“静寂”さえもないのかもしれない。

 限りなく速くて、限りなく遅い。

 なんだかそんな境界に不時着する得体の知れない輪郭が、垣間見えた。

 それをどう表現すればいいかもわからなかった。


 …ただ、女は、そんな状況とは裏腹に柔らかい表情を浮かべていた。

 「怖がらなくていい」

 やさしく手を握り、そう言ってくる。


 俺はただ言葉を追いかけたんだ。


 それ以外にどうしようもなかったから。
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