雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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やかましい

第58話

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 「…昨日も言ったやろが」

 「なんか言っとったっけ?」

 「…あのなぁ。俺には俺のペースってもんがあるんや」

 「ほーう??」

 「来年になったら新入部員が入ってくるし、そしたら公式戦にも出れる」

 「何を悠長なこと言うとんや」

 「別に構わんやろ?それに、いくら強豪校に行こうが、甲子園に出れるとは限らん。大体、それが全てやないしな」


 俺はただ、野球を楽しめればいいと思ってる。

 高校生活を楽しめるのは今しかないし、部活に勉強と、切羽詰まってやるべきじゃないとも思う。

 中学の時に色々経験した。

 野球尽くしだったからな、あの頃は。

 全国には行けなかったが、それでもベスト4だった。

 毎日練習して、汗水垂らして。

 “もう十分だ”って思えたんだ。

 どうせ頑張っても、勉強が疎かになったんじゃ意味がない。

 何事も“程よく”やるのがいいわけで…


 「本気で言っとんかそれ」

 「いや、そうやけど」

 「…だっさ」

 「だっさってなんやねん。腹立つな」

 「ホントのことを言ったまでやが?」

 「…はぁ?なんなん、昨日から。ほっといてくれん?」

 「そういうわけにはいかんのや」

 「なぜ…??」

 「色々事情がある。てか、私も野球部に入るから」

 「ハァ!?」

 「なんやねん」


 「なんやねん」、じゃない。

 俺の話聞いてた?

 ってか、なんだ…?

 まじで言ってんのか?


 「何驚いとんねん」

 「…いや、驚くやろ。てか、無理無理無理」

 「何が無理なん?」

 「こっちは今楽しくやっとんや。お前が入ったら輪が乱れるやろが」

 「…どう言う意味?」

 「そのままの意味や」
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