雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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いや、ちがう、そうじゃない

第18話

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 「…どういうことや?」

 「頼まれたんや。千冬に」

 「……なにを?」

 「あんたのことをよろしくって」


 …頼まれた?

 アイツに…?


 いや、そんなことはありえない。


 「冗談も大概にせぇ」

 「信じられん?」

 「当たり前や!」


 俺はずっとアイツのそばにいた。

 毎日のように過ごしてた。

 だから知ってる。

 なにを頼まれたのかは知らないが、そんなことはあり得ないんだ
 
 お前が何者かは知らないが。


 「ま、信じてくれんでもええけどな。せやけど、あんた約束したやろ?“いつか誰よりも速いストレートを投げる”。そう言ったこと、覚えとる?」

 「………なっ」


 ……

 ………どういうことだ?

 そんなこと、誰にも話してないぞ…?

 知ってるはずがない…

 …だけど現に、俺たちにしか知らないことを知っている。

 でもそんな、まさか…

 
 ますます混乱してしまう自分がいた。

 頭ん中が大渋滞だった。

 次から次へと、予期していない言葉がやってくる。

 理解しようにも、理解できなかった。

 聞こえてくる内容が、あまりにも突拍子もなくて。


 「私が専属コーチになったる」

 「…はい?」

 「あんたを日本一のピッチャーにしたる」


 ちょっと待て。

 それ以上喋らないでくれるか?

 これ以上混乱したくないんだ。


 「とりあえずシャワー浴びたいんやけど」

 「…」

 「もしもし?」
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