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いや、ちがう、そうじゃない
第17話
しおりを挟む「私こそ聞きたいんやけど」
「…何?」
「ほんまに甲子園に行く気あるんか?」
「ある…けど」
「そんなやつが私に負けるかねぇ」
「あれは油断しとったから…!」
「はいはい」
俺がなんで甲子園を目指してんのか、女は知ったような口ぶりで話す。
奇妙だ。
非常識な行動もそうだが、言ってることがいちいち引っかかる。
普通のヤツじゃないことは一目瞭然だったが、それにも限度ってもんがだな…
いっそ噛み砕いて話したかった。
けど、全然噛み砕けないから困った。
むしろ口の中がモゴモゴする。
こんなにも話に脈絡がないと、パニックにならない方がおかしいわけで
「さっきも言うたけど、私は千冬の友達や」
「友達って、いつから?」
「だいぶ昔や。子供の頃かな」
「…ふーん」
「私がなんであんたに会いに来たかわかる?」
「知るわけないやろ」
「千冬を助けたい。そのためには、あんたの力が必要なんや」
女は真顔でそう話す。
耳を疑わずにはいられなかった。
千冬を助ける…?
その「意味」は、わからないわけじゃなかった。
でも、仮にそうだとしても、俺の考えが間違ってなかったとしても、いまいちピンとこない。
そりゃ助けられるなら助けたい。
どんな犠牲を払ってだって、アイツの目が覚めるのなら
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