雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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白いパンツ

第9話

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 「さっさとしぃや」


 …いや、まだオッケー出してないんだけど。

 仕方なくバットを持ち、バッターボックスの中に入った。

 言われるがままに立たされたわけだが、これって俺にメリットなくね?

 勝負とは言うが、ルールは?


 「3球勝負?」

 「そう。あんたは、バットに当たりさえすれば勝ち」


 …

 ………

 ……はぁ?


 バットに当たりさえすれば勝ち…って、ナメてんのか。


 「ファールとかは?」

 「それでもあんたの勝ちや」


 …嘘だろ?

 いや、まあ、こっちにとっちゃありがたい話だ…

 勝ったところでって感じではあるが。


 「そのかわり、負けたらさっき言ったこと、頼むで?」

 「さっき言ったことって、なに?」

 「住む場所と、食べるもの」


 聞き間違いじゃなかったのか…?

 呆気に取られていると、女は投球モーションに入った。

 両手を大きく振りかぶり、マウンドプレートにカカトを乗せて。

 急いで俺は構えた。

 心の準備がまだ整っていなかったが、こうなったらやるしかない。

 どうせ大したことはないだろう。

 女が投げる球なんて、軽く振っても当たる。

 山なりのボールかなんかだろ、どうせ。
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