5 / 394
白いパンツ
第3話
しおりを挟む「他に誰がおるねん」
周りを見渡す。
見た感じ、俺しかいない。
誰かと出会う時ってこんなんだったっけ?
いやいや、そんなわけないよな…
今まで出会ってきたヤツらとは、自己紹介くらいはした。
まずは自分の名前を名乗って、その次にはお辞儀をする。
必要とあらばだが。
だが目の前にいる女は、腕を組んでいるだけじゃなく、自己紹介もしない。
ふつー「はじめまして」の次は、名前を名乗るべきなんじゃないのか?
っていうか今はそんなことはどうでもいい。
状況が整理できない。
見ず知らずの人間に通行の邪魔をされ、挙げ句の果てには、ここは通さないと言わんばかりに足止めを食らっている。
早く家に帰って寝転びたいんだけど?
どいてくれます?
「…通りますね」
「待てや!」
…お、おう?
待て…とは?
横を通り過ぎようとすると肩を掴まれた。
グイッと、ガードレールの前まで押され、女は急接近してきた。
…なんだ、これは?
俺の身に今何が起こってる?
喧嘩を売ったような覚えはないし、目の前の女とは面識もない。
そりゃそうだ。
「はじめまして」なのだから。
その「はじめまして」もよくわからない。
はじめましての次には、普通はこうはならないからだ。
少なくとも出会って数十秒で肩を掴まれることはないし、「あんた」呼ばわりされることもない。
ここは日本だぞ?
礼儀正しく、相手を敬う。
そういう教育を俺は受けてきたんだが、…間違ってないよな?
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
真夏のサイレン
平木明日香
青春
戦地へ向かう1人の青年は、18歳の歳に空軍に入隊したばかりの若者だった。
彼には「夢」があった。
真夏のグラウンドに鳴いたサイレン。
飛行機雲の彼方に見た、青の群像。
空に飛び立った彼は、靄に沈む世界の岸辺で、1人の少女と出会う。
彼女は彼が出会うべき「運命の人」だった。
水平線の海の向こうに、「霧の世界」と呼ばれる場所がある。
未来と過去を結ぶその時空の揺らぎの彼方に、2人が見たものとは——?


切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。

彼女は多分、僕の書く小説にしか興味が無い
御厨カイト
青春
僕の隣の席の小池さんは有難い事に数少ない僕の書く小説のファンだ。逆を言えばそんな彼女は僕の書く小説にしか興味が無いのだろう。だけど僕は何だかその関係性が好きだ。これはそんな僕らの日常の1コマである。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる