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史上最年少の訓練生
第4話
しおりを挟む学校でも噂されているように、ルシアは入学前から注目を浴びている存在だった。
彼はフローレン家の人間だ。
それは“暗殺一家の人間として”、というよりも、その「血筋」にあった。
フローレン家の祖先は、オーシャンズタウン北部にある辺境の町「ダリ」に於いて、元々狩りを生業にした家業を営んでいた。
今でこそ犯罪者集団として悪い噂が流れている一家だが、当時は町の農業や鉱業とも密接に関わっていた重要な商工業者の一つであり、町の経済的な発展の中枢を担っていた実業家だった。
フローレン家には、代々伝わる「呪いの力」がある。
フローレン家に関わらず、人々の間には、稀に“ブックメーカー(能力者)“と呼ばれる特別な力を持った者たちが生まれていた。
“ブックメーカー”は魔法の力が扱え、「四大種」と呼ばれる地・水・火・風の元素能力を持つことが知られており、古来では「呪われた種」として忌み嫌われていた。
魔法自体は昔から存在していたが、それを自発的に扱えるものは多くなかった。
今でこそポピュラーな存在になっているが、“純粋種”と呼ばれるブックメーカーは、世界人口の比率で言えば約3%にも満たない。
ルシアは、その数少ない純粋種の1人であった。
「水」の元素能力を持つフローレン家の末裔として、鳳凰院の「特待生リスト」の中に入っていたのだ。
100年以上生まれていなかったフローレン家の能力者として、イスティア内の『皇国新聞』にも一躍取り上げられていた。
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