COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

星の使徒

第２９５話

　引き寄せられるかのような膨大な量の魔力が、天守閣の「上」にあった。

　一同は視線を上げた。

　そこには、断層の中から現れた2人の「悪魔」がいた。


　「どれどれ。ざっと6人くらいか？？レッドは何してんだ？」


　２つ結びの長い髪に、ブルーアッシュ。

　八重歯が覗くシャープな顔立ちの少女は、巨大な「鎌」を担いでいた。

　自らの背丈ほどもある幅の広い刀身は、緩やかな曲線を描いている。

　長いスカートには縦にボタンが付けられていて、開閉が可能なデザインになっていた。

　半開きになるように腰の位置までボタンが外されており、その中にはミニスカートと、スラリと伸びる脚が見えた。

　オフショルダーのトップスから紡がれるアウトライン。

　ハキハキした物言いと、肩にぶら下がった刀身の、豪快なフォルム。

　——そして、その隣にいる人物。

　
　「口を慎め。曲がりなりにも、姫様の血縁者なのだぞ？


　「彼」は、天界に於いて高額の賞金を掛けられているA級クラスのソルダード、『Dr.フーゴ』。

　金髪ショートのオールバックと、四角い顔。

　ラウンド型のサングラスが目元を隠していた。

　ライトグリーンのレンズが、太陽光にあたって反射している。

　白いトレンチコートの下には、長い形状のブーツが、光沢感のある艶を煌めかせていた。


　「対象は？」

　「ちゃんと捕まえてるよ」


　夜月たちの足元を覆っている蔓。

　この「植物」の正体は、ブルーアッシュの少女が扱う魔力であり、魔法だった。

　彼女の名は、アイリーン。

　アイリーン・シトラス

　土属性に該当する悪魔であり、未確認のソルダードの1人である。

　かなり若い見た目をしていた。

　無邪気な顔立ちの中に見える柔らかい印象は、尖った鎌の“存在感“をより際立たせていた。

　長い髪の毛先はほんのりとカールがかかり、それでいて流れるようなラインを築いている。

　棘があると言えばある奇抜なファッション。

　口に開いたピアスと、紫色の唇。

　刀身の刃渡りには、きめ細やかな紋様が複雑な形を描くように走っていた。

　刃全体は艶がかった紫で覆われており、黒い柄の先端には、鉤爪のようなゴツゴツした金属があしらわれていた。