COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

霊術院出のエリート

第１７９話

　六角形の氷晶。


　氷属性の魔力が、空気中に漂う。

　キョウカの領域は、地上から空中まであらゆる領域を網羅することができる。

　大気には水分(水蒸気)が含まれるが、彼女の「氷」は水蒸気が多く含まれている場所であればあるほど、その効果を強化できる。

　上空を飛翔するクリーチャーの肉体に、風が吹いた。

　「風」はチサトの魔力流域に沿って流れていた。

　そして、その魔力流域には、キョウカの魔力が拡散、——“接続”されていた。


　天守閣のある本丸の上空。

　クリーチャーたちは断層から飛び出した後、人々の住む街に向けて方向を切り替えていた。

　理性が無いとはいえ、「戦闘」にかけての知能は一定以上の水準が備わっている。

　彼らは地上に天使がいることを察知していた。

　集団で行動するよりも、個別に動いた方が生存する確率が高くなる。

　本能的にそう判断した先頭のクリーチャーは、後方に信号を送っていた。

　彼らは魔力とそれを通信する器官(アンテナ)を、体内外に備えている。

　瞬時に信号を送り、状況を認識する後続のクリーチャーたち。

　各方面へと翼を動かしたのは、第一に空間を広く使うためだった。

　行動する時間が長くなれば、その分選択の余地が拡がるためだ。