COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

霊術院出のエリート

第１７１話

　偉そうに…

　そう呟く坂本の横で、サユリが口を開いた。

　彼女は断層を見ていた。

　さっきからずっとだ。

　ブラック・ストリームの内部を直に見る機会はそうそう無い。

　今回初めて「断層」を目にし、その物珍しさに目を奪われていた。

　「あ！」と、驚いたように声を上げた。

　それと時を同じくして、キョウカのチャットポッドに連絡が入る。

　エドワードからだった。


　「中から魔物を検知した。メンバーを呼ぶ？」

　「“数“は？」

　「1、2…ざっと10体はいるかな」

　「チッ。あんたは他のメンバーに連絡して。チサト、聞こえる？」

　「あいあいさー！」

　「『ネット』を張って。私は下で迎撃する」


　チャット上で連絡をやり取りする”３人”。

　キョウカと、エドワードと、それともう1人。

　神里チサト。

　名古屋ジェッツのメンバーの1人。

　彼女は天守閣から少し離れたドルフィンズアリーナの屋根の上にいた。

　もっとも、彼女は常にそこにいたわけではない。

　彼女は常に移動していた。

　それはこの場所に到着してからだ。

　不測の事態に備えての行動。

　そして、それはこの場面に於いて確かな役割を果たす。