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霊術院出のエリート

第170話

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 「「断層」の解析もしているところだ。つまり、お前たちの仕事はもう何も無い」

 「断層の解析??それ、調査隊の管轄なんじゃない?」

 「臨機応変という言葉を知らないのか?あの断層を見てみろ。調査隊の周りくどいやり方に従っていたら、裂け目がさらに広がる可能性もある」

 「で、その「解析」とやらは進んでいるのか?」

 「…誰かと思えば、ウチのメンバーに負けたやつじゃないか。弱者が口を挟まないでくれるか?」

 「なんだと!?」


 感情を露わにする坂本。

 彼は先日バトルフェスティバルで、「名古屋ジェッツ」のメンバーである“京極蓮太郎“に負けていた。

 互いに炎属性での戦いだったが、緻密な計算と戦略を好む坂本に対し、相手はこれといった「型」の無い自由奔放な戦い方で坂本を翻弄し続けた。

 魔力の差はそこまでなかったにしろ、相性としては「最悪」だった。

 とくに、坂本側からすれば。


 「一度勝ったくらいでいい気になるなよ?あれは単純に選択をミスって…」

 「戦場では、その選択のミスが命取りになる。「戦い」に次はない。夜月。ちゃんと教育しておいた方がいいぞ?」

 「まあ、私も失格で負けたしね。えへへ」

 「ヨル。あんなヤツの話に耳を傾けるな。恐らくアイツらは協力しないだろう。独自に調査しているというなら、勝手にさせておけばいい」

 「お前たちの仕事はもう無いと言っているんだが?」

 「仕事があるか無いかはお前が決めることじゃない。上からの伝達があればそうするさ。それまでは行動させてもらう」

 「好きにしろ。だが、邪魔をするんじゃないぞ?」

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