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バトルフェスティバル 地区予選編②
第92話
しおりを挟むバチバチッ
敵の位置、場所、範囲。
あらゆる情報が脳内へと駆け巡り、フィールドの全域は先輩の「知覚領域」そのものになる。
ただ、問題はあの砂嵐をどうするかだった。
敵の位置情報を掴めたとしても、あの「壁」を掻い潜らなければ話にならない。
敵が次にどう動くのか。
その行動の起点になるものがなんであれ、無闇に突っ込むのは得策じゃないと思った。
だけど——
ドンッ
激しい電流を帯びたまま、先輩は嵐の中心へと舵を取った。
敵の魔法流域の真っ只中へ。
それが正しい選択だったかはさておき、砂嵐は先輩を迎え撃つ。
霧状に膨れ上がっていた粒子の流れは、迎撃方向に密度を深めて、その「隙間」を狭めていった。
砂塵は垂直方向に回転する。
回転軸の中心に近い場所ほど、その速度は肥大化し、濃い体積を帯びていく。
岩石流(ロック・フロー)
相手天使の最も得意とする技だった。
高密度の砂やその粒子を自由に動かしながら、その空間内において岩の「流れ」を形成する。
彼自身は「それ」を地脈と呼ぶ。
地層に流れる土や石の化学的な組成を操作しながら、岩石の「中」にある堆積物を一時的に分解し、固結した状態を解除する。
イメージは「紐」だ。
岩石にもいくつかの種類があるが、例えば『堆積岩』と呼ばれるものは、既存の岩石が風化・侵食されてできた礫・砂・泥、また火山灰や生物遺骸などの粒(堆積物)が、海底・湖底などの地表に堆積し、続成作用を受けてできた岩石を指す。
カーティスはこれらの岩石組織の変化過程を“解き”、一時的に「続成作用が及んでいない領域」へと戻すことができる。
地面とその地層との相関的なネットワーク。
それはまるで結ばれた紐を一度ほどき、また結ぶことができる繊維質のようだった。
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