84 / 222
バトルフェスティバル 地区予選編②
第83話
しおりを挟む「ね?だから言ったろ?」
「ね、じゃなくて、こんなのずるくない?」
「何が?リン姉も予測してたとは思うよ?その上で突っ込んだんだ。相手が動くよりも早く展開する。結果、間に合わなかったけどね」
相手の姿は元の色や輪郭を失っていた。
と言うか、作りかけの土人形みたいだった。
皮膚はバラバラと落ちる無数の砂で覆われながら、常に流動し、”動いている“。
結合と分離を繰り返しながら、かろうじて”人の輪郭”を保っていた。
砂時計の底に溜まっていく、ゆるやかな曲線の山みたいに。
足は地面と繋がっていた。
その境界線はすごく曖昧だった。
どっちが本体なのかがわからないくらいだった。
上が本体なのか、下が本体なのか。
「来るぞ」
隆起する地面。
敵の攻撃を被弾し、後退した先輩の隙をつく。
何本もの岩の「槍」。
凝固する砂粒の分子。
ボッ
ボッ
ボッ
鋭い切先が、次々と地面の底から現れる。
交錯する影が、入り乱れるように織り重なっていく。
波。
まるで海の水面を見てるみたいだった。
ゆらゆらと揺蕩う水面の上で、時折、白い水飛沫を立てる渦。
…いや、これは「水面」というより——
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる