COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

バトルフェスティバル 地区予選編②

第７９話

　開始の合図とともに、試合が始まった。

　BLITZのキャプテン、——ヨーダ・カーティス。

　属性は地属性。

　大地を操り、長尺の槍を武器にしている。

　先輩にとって相性が最悪な相手なのかも…

　だって「槍」だよ！？

　拳につけたナックルじゃ、間合いに差がありすぎるんじゃ…



　夏木先輩が誰かと戦ってるのを見るのは、これが初めてだった。

　人間界では特訓の指導をしてくれてただけで、魔族の討伐とかもしてない。

　想像できなかった。

　どんなふうに戦うのか。

　どんな魔法を使用するのか。


　ダンッ


　開始早々、先輩は相手に向かってダッシュを試みる。

　土埃が上がると同時に、跳ね上がった体。

　グンッと下半身から解き放たれた脚力が、地面の影を引き離す。


　先手必勝。


　先輩がよく口にしてた言葉だ。

　最初の攻撃が勝敗のカギを握る。

　それには「スピード」と「タイミング」が、もっとも重要になるって。



　ゴォッ


　背中まで捻れた肩甲骨の可動域。

　その深層からバネが弾けるように右の拳が滑走する。

　相手の顔面にヒットする。

　距離としては十分だった。

　十分すぎるほどに“近かった”。

　相手はガードする動作さえ取れていない。

　構えた槍の先端は地面に向いたままだ。

　これなら——