53 / 222
バトルフェスティバル 地区予選編①
第52話
しおりを挟む「わぁ」
転送装置の先にあったのは、“パンデモニウム”と呼ばれる化学センターの一室で、金属でも木でもない謎の素材であしらわれた空間が、背の高い天井の下に現れた。
天界の空が、窓の向こうにあった。
装置の外には白衣を着た天使がいた。
仏教ヅラで、無精髭を生やしていた。
縁のないメガネをクイッと持ち上げながら、バトルフェス用のパスを渡せと言ってきた。
「会場への行き方はわかるのかね?」
…会場への行き方?
ここが「会場」なんじゃないの?
確か、リンドブルム鉱山でしょ?
「ここは鉱山の近くの研究センターなだけで、会場じゃないよ」
「近いんですか?」
「10キロくらい?」
「10キロ!?」
まあまあな距離じゃないか。
どうやって行くつもりなんだろうか。
外を見ると長閑な平原が広がっていた。
いくつもの小高い丘と、痩せ細った大地。
色褪せた土の色が、見渡す限りに続いていた。
茶色い平野に立ち込める砂埃が、ヒュウウっという音を響かせ、もの寂しい雰囲気を連れてきていた。
コロコロと転がっている丸まった枯れ草。
水気のないひび割れた土。
砂漠とまでは言わないが、緑がほとんどない。
鉱山の下には豊かな森があるって話だけど、ほんとにあんの!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる