COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

今日からお前は私の従者だ

第３２話

　「ほんとに戻ってたんですって！」

　「はいはい」

　「なんで信じてくれないんですか？」

　「“あり得ない”からだよ。そんなことは」

　「先輩だって時々「門田葉子」になってるじゃないですか。すぐに元に戻りますけど」

　「そりゃ私は魔法を使えるからね？でもあんたは違うでしょ？」

　「うう…」


　反論できない。

　鏡の前に立った。

　上から下までものの見事に「望月町子」だ。

　丸みのあるシルエットのショートヘアーに、白くてもちもちの肌。

　笑うとえくぼがぴょこっと姿を現し、スッキリしたフェイスラインが、どこか優等生気質の優雅さを醸し出している。

　…って、そんなことはどうでもいいんだよ！！

　なったものはなったんだ！

　「私」の姿に！


　なんで信じてくれないかなぁぁ

　私は悪くないんだって。

　先輩の言ってることはわかるよ？

　天使の身分になろうというものが、過去の自分の情報や事情を下界に持ち込むなど、ご法度中のご法度。

　そのくせ死んだはずの「私」が関わりのあった人間と接触を試みるなど、永久追放を喰らっても文句が言えないくらい、重大なルール違反だ。

　だから引き離そうとしたんだ。

　他にも理由はあったが。



　くっそー

　アイツのせいでとんだ説教を喰らったよ…

　今度会ったらタダじゃおかない。

　でもきっと、この近くに住んでる人だよね？

　見た感じ、たまたま会ったっぽかった。

　そもそも地元のコンビニだしね。

　ここらへんに住んでなきゃ、わざわざ立ち寄ることはないだろう。

　…それにしても、うーん…