COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

まずは名を名乗れ

第２１話

　「いい？よく見といて」



　サァァァァァ


　夏木先輩がカカシの前に立つと、地面に落ちた木の葉が揺れ始めた。

　周りは風が吹いていない。

　にも関わらず、回転するように葉っぱが持ち上がる。

　握りしめた拳の表面には、バチバチッと、電流のようなものが浮かび上がっていた。

　真琴先輩は武器として弓を扱っていた。

　でもこの人は違う。

　手には薄手のグローブをはめ、裾を捲ったチノパン。

　本人が言ってたように、近接攻撃が得意みたいだった。

　ボクサーみたいにタンッタンッとウォーミングアップしながら、肩の力を抜いている。

　小さく息を吐き、狙いを定めていた。

　異様な空気が流れる。

　髪の毛先がチリチリする。

　軽快なステップから地面を抉るように蹴り出した足。

　シッ！

　という音が、砂埃を巻き上げ。


　バシィィィィッ


　夏木先輩が繰り出したパンチは、身軽なフットワークから繰り出されたとは思えないほど、力強かった。

　おまけに疾い。

　ステップの歩幅はそこまで広くない。

　にも関わらず、蹴り出した地面には大きな足跡が残っていた。

　カカシは拳に触れるや否や、弾けたように飛散した。

　木でできてたはずだよね？

　丸太とまではいかないけど、まあまあ太い木だった。

　それなのに弾け飛ぶって、どんだけ…