COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

どちら様ですか？

第１３話

　「勅使河原ちゃんだよね？」

　「…そ、そうですが」

　「あれ？聞いてないの？」

　「聞いてません」

　「そっか。アイツらテキトーなところあるからなぁ。まあいいや、とにかく入って！」


　一体この人は誰だ？？

　私を知ってるってことは、魔法省の人だよね？

　…絶対に

　まさか、赤の他人が勝手に入ってるってことはないよね？

　まあそれは無いとして、私と同じ見習い天使の人？

　同じように筆記試験に落ちた人とか？


　家の中は外と同じようにボロボロだった。

　色のハゲた襖に、ささくれまくった畳。

　天井には蜘蛛の巣が所々にあって、不気味なほどに暗い廊下が、垂れ下がった豆電球の下に伸びていた。


　「今日からここに住むことになるけど、何をするかは聞いてる？」


　コタツの置いてある居間に着くと、女の子はテレビをつけ、ドーンと座布団の上に腰を下ろした。

　手に取ったのはみかんだ。

　いる？

　と差し出されたが、食欲はない。

　ってか先に説明してくださいよ。

　あぐらなんてかいてないで。



　「ごめんごめん。自己紹介が遅れたね。私は夏木。夏木リン。よろしく」

　「ハァ…」

　「ご存知の通り私は天使だ。位階は、第八位。あんたのルームメイトで、先生でもある」

　「先生！？」

　「まさか、一人暮らしでもすると思った？」


　すると思ってました。

　…え、違うの？

　私が聞いた話は、半年間下界で生活して、提出された課題をクリアしていきなさいって感じ。
　(【前期】と【後期】に分かれた、2クール制の研修制度)※計1年間

　時々管理部の人が様子を見にくるから、ひとまず家に着いたら電話をくださいって言われたんだ。

　この家についてる固定電話から。