14 / 48
俺の体を返せ
第13話
しおりを挟む今戻っても、かなり大変な思いをするんだろうなって思う。
…けど、アイツの体に入ってるよりは数倍マシ。
先生にも尋ねてみた。
魂が入れ替わることがありますか?って。
ハハハッ
って笑われただけで、まともな回答は得られなかった。
…そりゃそうかって話ではある。
普通はこんなこと起こらない。
そんなのは私もわかってるよ!?
…だけどさ
…ほんとに、どうやって戻るんだろう…
ネットで調べてみたいんだけど、パスワードがわかんなくて開かないんだよね…
アイツが設定しそうなパスワードってなんだろ
誕生日?
それとも、野球にまつわること?
…わかんないなぁ
間違えまくるとロックかかっちゃうんだよ
だから触らないようにしてた。
おじさんも知らないって言ってた。
ためしに誕生日で打ってみようかな
あ、「0000」とか?
アイツのことだから、初期設定のままいじってないかも。
…どうだろう…
「おい」
カーテンが揺れて、誰かの声が聞こえた気がした。
病室には誰もいない。
おじさんは仕事に戻るって言って、さっき出て行った。
祐輔の友達とか学校の先生とかがお見舞いに来てたりしたんだけど、今日はもう夕方だし、多分誰もこない。
差し入れをたくさん置いていってくれている。
看護婦さんからは控えめにするように言われてるけど、お菓子とかがあるから、つい手を出したくなってしまう。
…ってか、よく考えたら、アイツの体だよね?
…ってことは、体重とか気にせずに食べれるってこと?
え、…そうだよね??
大好きなじゃがりこが目の前にある。
こんな時間だし、さっき夕食も食べたけど、これ、…食べてもいいやつ?
「…おい」
また、誰かの声が…
ついに幻聴が聞こえるようになったか。
部屋には誰もいない。
それは間違いない。
色々ひどい目に遭ってるんだ。
これくらい許してくれるよね?
そもそも、好きでこの体に入ってるわけじゃない。
気がついたらアイツになってて、見たくもないものを見るはめに…
ショック死レベルのストレスを解消しなきゃ、私の身がもたない。
男の子なんだから、多少太ろうがなんだろうが構わないでしょ?
じゃがりこの封を開ける。
ポテチとかマーブルチョコとか、おまけにポッキーも。
よりどりみどりですねぇ
人生で一度は、カロリーなんか気にせずにお腹いっぱいお菓子を食べてみたかったんだよね。
今までは次の日が怖くてできなかったけど、今ならッ
「おいって!」
耳元で呟く声が聞こえて、ハッと振り向いた。
後ろには壁があるだけで、誰もいない。
…まじで何…?
幻聴にしてははっきりしてる。
はっきりしてると言うか、どっかで聞いたような…
じゃがりこを頬張ろうと、手を突っ込んだ。
欲望のままに口を動かそうと思って、鷲掴んだそれを持ち上げながら、あーんって口を開けた。
さっきも言ったけど、部屋には誰もいない
…いない、はずだった…
持ち上げたじゃがりこを口のそばで離そうと、顔を上げた時だった。
目の前に、人影が映ったのは。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
怪獣特殊処理班ミナモト
kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。
基本中の基本
黒はんぺん
SF
ここは未来のテーマパーク。ギリシャ神話 を模した世界で、冒険やチャンバラを楽し めます。観光客でもある勇者は暴風雨のな か、アンドロメダ姫を救出に向かいます。
もちろんこの暴風雨も機械じかけのトリッ クなんだけど、だからといって楽じゃない ですよ。………………というお話を語るよう要請さ れ、あたしは召喚されました。あたしは違 うお話の作中人物なんですが、なんであた しが指名されたんですかね。
人類は孤独ではない――タイタン探査が明らかにした新たな知性
シャーロット
SF
土星の衛星タイタン。その極寒の液体メタンの湖底で、人類は未知の生命体「エリディアン」と出会う。触手を用い、振動を通じて交信する彼らは、人類とは異なる進化の道を辿り、独自の文明を築いていた。
探査機を通じた交信から始まった関係は、次第に双方の文明を変えるものとなる。人類はエリディアンに「光」の技術を提供し、彼らは人類に自然との新たな関係性を示す。補完し合う知性の融合は、単なる接触を超えた共生の道を切り開いていく。
タイタンという異星世界で、二つの知性が交わり、互いに新たな高みを目指す物語。その過程で、人類は宇宙における自らの位置を問い直し、新たな未来を模索する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる