サマーバケーション

平木明日香

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なんでアイツの体に…?

第3話

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 「…あの、ここって」

 「ここは市民病院です。昨日電車事故があって、緊急搬送されたんです。ここにいる皆さんは、その事故の…」


 病院?

 電車事故があったって、…どういう…


 「電車事故って…」

 「今は、とにかく安静にしておいてください。橘さんのご家族も病院にこられてます。今呼びに行っておりますので」


 …橘さんって誰…?

 ご家族って言うけど、母さんならそこに…


 母さんって呼ぼうとした。

 向かい側のベットに向かって、何か言ってる。

 後ろに立ってる人が、宥めるように母さんの背中をさすってた。


 …おじさん?

 でも、どうしてここに…


 バタバタと響く床の音。

 「祐輔!」

 目の前までやってきた背の高い男の人が、私に向かって声をかける。

 祐…輔…?

 マスク姿で、誰かはわからない。

 わからないけど、私の知り合いじゃないことは確かだった。

 だって、見覚えないし


 「大丈夫か!?痛いところとかは?」


 痛みは、ある。

 頭がとくに痛い。

 関節はまあまあ…かな

 それはいいんだけど、どちら様…でしょうか…?


 「心配したぞ…、本当に…。一時はどうなるかと…」

 「…えっと、誰…ですか?」

 「記憶がないのか…?父さんだ。ほら」


 マスクを外して、顔を見せてくる。

 …あれ、どこかで…


 でも、父さんじゃないことは確かだった。

 急にガタイは大きくなんないでしょ?

 そもそも、顔が全然違う。

 人違いだと思うんですが…


 「あの、母親が…、そこに…」

 「え?母さんが…?」


 男の人は驚いたように振り返る。

 だけど、一通り見渡したあと、私を見た。


 「祐輔…。とにかく今は安静にしておくんだ。わかったな?」

 「…いや、その、呼んでもらえませんか?」


 母さんを指さす。

 あの人ですって、訴えかけた。

 すると隣にいた看護婦さんが、母さんを呼びに行ってくれた。

 こっちを向いて、近づいてくる。
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