サマーバケーション


中学時代から豪速球で名を馳せた投手だった橘祐輔(たちばなゆうすけ)は、甲子園出場をかけた県大会の決勝で、まさかの逆転負けを許してしまう。

それ以来、自分の思い通りにプレーができなくなってしまっていた。

『野球を辞める』

そのことを真剣に考えていた矢先、学校に向かう道中だった電車が、脱線事故を起こしてしまう。

祐輔はその事故の影響で、意識不明の重体に陥っていた。

そしてもう一人、電車に同乗していた安藤三夏(あんどうみか)という少女も、頭を強く打ち、目を覚まさなくなっていた。


2人は、子供の頃からの幼なじみだった。

高校では別々の道を歩み、連絡ももう取らなくなっていた。

中学時代の、ある“事件“以来…


目を覚ました三夏は、自分が祐輔の体の中に入っていることに気づく。

病室のベットの上で、眠ったままの「自分」の姿を見ながら、祐輔の意識が遠のいていく気配を感じていた。

子供の頃に交わした約束。

心のうちに秘めた想い。

もう2度と、再会することのなかったはずの2人が、最後の夏に駆けた「夢」とは?
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