雨上がりに僕らは駆けていく Part3

平木明日香

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キミと明日を駆ける

第4話

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 過去に戻ってきて、約1ヶ月が経つ。

 カレンダーは5月で、もうすぐ夏だ。

 自分が今高校生だということを考えると、どこか奇妙な気分になる。

 まあ正直、こういう経験をするのは初めてじゃないから、だんだんと慣れてきてるけど。

 時々、考えてしまうんだ。

 今が“いつ”か。

 カレンダーを見れば、その答えはすぐにわかってしまう。

 だけどそれがどれだけ奇妙で、ばかげてるか、…つい、冷静な感情のそばで、意味もなく反芻してしまう。

 だって私は、本来ここにいるべきじゃないんだ。

 もう何度も経験した。

 過去に戻って、いるはずのない時間にいて。

 どれくらいの距離をジャンプしたのかわからない。

 全部“置いてきていた”はずだった。

 世界に。

 雨が降る前の空に。


 
 玄関を開けて、学校に向かう。

 通い慣れた道の景色。

 川べりの斜面に続いていく、どこまでも透き通った日差し。

 
 感じるんだ。

 耳を澄ませれば、すぐ近くに。

 足を動かした先に見える街の風景が、「今日」に追いつこうとしていること。

 自分がどこにいるのかなんてもうわからない。

 そんな予感が頭のすぐ傍をよぎるのに、まだ、はっきりしない雲の形が、空の中心に近づこうとしていて。
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