雨上がりに僕らは駆けていく Part3



 1995年に起きたタイムクラッシュにより、世界は形を変えた。

 存在しなかったはずの人が存在し、存在するべきだった人が、存在しなくなった。

 「彼女」は、そのどちらにも属さない人間だった。


 今日という日は、みんな誰もが知っている1日だと思う。

 朝起きて会社に出かける人も、宿題に追われている夏休みの子供も、駅のホームに立つ街中の人や、部活帰りの女子高生も。

 私もつい先日まではそう思ってた。

 例えば今日が西暦の何年でも、夏でも冬でも、いつもと変わらない日常なんだってこと。


 だってそうでしょ?


 部屋の時計を見れば、顔色ひとつ変えずにアラームの音が鳴る。

 カーテンの向こうに広がる街の景色も、雲ひとつない晴れやかな空の青さも、いくつも見てきた当たり前を連れて、今日という日がやって来る。

 それが普通なんだって思ってた。

 「今日という日」が来ることが。

 いつもと変わらない景色を見ることが…。


 タイムクラッシュの爆心地、1995年の神戸市の街で、世界の運命は揺らぎ始めた。

 それまでにあった世界は失われ、起こるべきはずだった1つの「未来」は、永久にその行方をくらました。

 全ては、1つの「過去」を変えたことが原因だった。

 1995年1月17日、午前6時。


 あの日、あの時刻から、世界のカタチは失われたんだ。


24h.ポイント 0pt
0
小説 192,046 位 / 192,046件 恋愛 57,181 位 / 57,181件

あなたにおすすめの小説

雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香
恋愛
「隕石衝突の日(ジャイアント・インパクト)」 そう呼ばれた日から、世界は雲に覆われた。 明日は来る 誰もが、そう思っていた。 ごくありふれた日常の真後ろで、穏やかな陽に照らされた世界の輪郭を見るように。 風は時の流れに身を任せていた。 時は風の音の中に流れていた。 空は青く、どこまでも広かった。 それはまるで、雨の降る予感さえ、消し去るようで 世界が滅ぶのは、運命だった。 それは、偶然の産物に等しいものだったが、逃れられない「時間」でもあった。 未来。 ——数えきれないほどの膨大な「明日」が、世界にはあった。 けれども、その「時間」は来なかった。 秒速12kmという隕石の落下が、成層圏を越え、地上へと降ってきた。 明日へと流れる「空」を、越えて。 あの日から、決して止むことがない雨が降った。 隕石衝突で大気中に巻き上げられた塵や煤が、巨大な雲になったからだ。 その雲は空を覆い、世界を暗闇に包んだ。 明けることのない夜を、もたらしたのだ。 もう、空を飛ぶ鳥はいない。 翼を広げられる場所はない。 「未来」は、手の届かないところまで消え去った。 ずっと遠く、光さえも追いつけない、距離の果てに。 …けれども「今日」は、まだ残されていた。 それは「明日」に届き得るものではなかったが、“そうなれるかもしれない可能性“を秘めていた。 1995年、——1月。 世界の運命が揺らいだ、あの場所で。

雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香
青春
学校の帰り道に突如現れた謎の女 彼女は、遠い未来から来たと言った。 「甲子園に行くで」 そんなこと言っても、俺たち、初対面だよな? グラウンドに誘われ、彼女はマウンドに立つ。 ひらりとスカートが舞い、パンツが見えた。 しかしそれとは裏腹に、とんでもないボールを投げてきたんだ。

5DAYS私はあなたを落としたい!

霜月@サブタイ改稿中
恋愛
白濱女子高等学校2年、夜山芽衣。私はこの学校の人気ナンバーワンイケメン教師、朝霞先生が好き!! イケメンこそ眼福。朝霞先生、尊し。先生にもっとお近づきになりたい!!! 私、朝霞先生と絶対に付き合う!!! 現代女子のNLラブコメディ! 芽衣は朝霞先生と付き合うことが出来るのか?!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

俺を彩る君の笑み

幸桜
恋愛
高校総体を半年後に控えた冬の朝。 俺の上に〝飛び落ちて〟きたのは────彼女だった。 ────「はっあああああ────っ!!!」 「きゃあああああ────っ!!!」   顔が見えた。横顔? 否、全部見えた。   〝空に浮かぶ女の子〟────(本文より抜粋) 初対面から、なぜか距離の近い後輩の女の子。 いつしか隣に居るのが当たり前になっていく日常、でも気づいたら彼女は俺の前にいた。 背中が見えた。 男なら、女の子の前を走りたい。 その決意が俺の足を動かしていく。 互いに素直で、まっすぐな思いはいつしか平行に、互いを魅せていく。 これはそんな先輩と後輩の、ゴールを目指す青春ラブストーリー 小説家になろうでも公開しています

スタートライン(あなたにもう一度会いたくて)

寿太郎
恋愛
どこにでもいる中学生が陸上を通じて前に進んでいく純愛ストーリー (一度途中まで上げていましたが間違えて消してしまいましたのでもう一度あげます。)

刹那よ、永遠に

イチ
青春
楽しむ事をモットーにしている隼人 勝つことにこだわる冬弥 中学の時は同じ目標を持ち共に切磋琢磨していた2人だったが…

女尊男卑 ~女性ばかりが強いこの世界で、持たざる男が天を穿つ~

イノセス
ファンタジー
手から炎を出すパイロキネシス。一瞬で長距離を移動するテレポート。人や物の記憶を読むサイコメトリー。 そんな超能力と呼ばれる能力を、誰しも1つだけ授かった現代。その日本の片田舎に、主人公は転生しました。 転生してすぐに、この世界の異常さに驚きます。それは、女性ばかりが強力な超能力を授かり、男性は性能も威力も弱かったからです。 男の子として生まれた主人公も、授かった超能力は最低最弱と呼ばれる物でした。 しかし、彼は諦めません。最弱の能力と呼ばれようと、何とか使いこなそうと努力します。努力して工夫して、時に負けて、彼は己の能力をひたすら磨き続けます。 全ては、この世界の異常を直すため。 彼は己の限界すら突破して、この世界の壁を貫くため、今日も盾を回し続けます。 ※小説家になろう にも投稿しています。