あの日は、晴れのち曇りの天気予報だった


中学生の頃に両親を亡くし、高校を中退した小鳥遊みかんは、祖母と2人で実家の牧場を切り盛りしていた。

学生生活を捨て、生活のために働くことを決意したみかんだったが、次第に自分の将来について不安を感じるようになってしまう。

そんな折、とあることがきっかけで祖母と喧嘩した彼女は、小学生の頃に別れた幼馴染からの誘いで、上京することを決める。

幼馴染は彼女にとっての初恋の相手であり、もう二度会うことがないと思っていた「夢の中」の人だった。

沖縄に住んでいた彼女にとって、東京という街はそれほどまでに遠い場所だった。

会うためのお金も、時間も、子供だった2人にとっては、あまりにもぶ厚い「距離」だったのだ。


上京後、彼の紹介で大学の寮に上がり込んだ彼女は、幼馴染の夢である「カメラマン」の仕事のモデルになるため、ありのままの自分を探す日々を送る。

今を生きる人を撮りたい。

彼にそう言われ、将来の自分についてを考える日々が始まった。

未来のこと、やりたい仕事。

生きるべくして高校を中退した彼女だったが、「生きる」ということがどういうことかを、いつからか見失っていた。


上京して5年。

彼女の元に連絡が入る。

祖母が入院したという、親戚からの電話だった。
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