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魔力0の物理バカ

第3話

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 「君はいつも忙しないな。まあ座って」


 …いや、教官?

 そんな感じなんですか?

 もっと言うことないんですか?

 10分以上待ってたんですけど。

 私。


 「…えーっと」


 彼は席に着くよう促された後、私の方を見た。

 困ったような顔をしていた。

 何か言いかけて、口を噤む。

 …何?

 そんな変な目でこっち見ないでくれる?

 文句があるなら教官にどうぞ。

 私とあなたを組み合わせたのは、他でもないこの人なんだから。



 「あんた、名前は?」

 「…は?」

 「いや、その、なんて呼べばいいかなーって思って」


 名前…?

 メールが飛んでるはずでしょ?

 っていうか、教官から何も聞いてないの?

 私は度々あなたの名前を聞かされたけど。


 「…セフィリア」

 「え?」

 「セフィリア・ハールートよ」


 彼は私の名前を聞くなり、ポンっと手を叩いて腕を組んだ。

 と思えば、急に胸を張ったようにドヤ顔をかまし、親指を立てながら自らの顔を指差す。

 ニカッと白い歯を覗かせた後、会議室全体に響き渡るくらいに騒々しく自己紹介を始めた。


 「俺の名前はソラ。よろしくな!」


 …えーっと。

 あなたのことは知っているし、そんな大きな声を出さなくてもちゃんと聞こえる。

 さっさと席に着いたら?

 とっくに時間が過ぎてるのわかってる?

 この後予定があるんだから早くしてよね。

 どうでもいいことでドヤってないで。


 「ハハハ。まあお互い初めてなんだし、挨拶くらい交わしたらどうだい?」

 「教官…?」

 「なんだい?」

 「私は反対ですよ?こんな人と組むのは」

 「なっ!?こんな人ってどう言うことだよ!」

 「声が無駄にデカいし、見た感じすごくだらしないし」

 「…はぁ?!」

 「それは一理あるかもね」

 「先生!?」

 「あと、時間にルーズな人は嫌いなの」

 「いやいや、それは確かに謝るけども。大体遅刻したのは先生のせいっていうか…」

 「アレェ?僕のせいにするんだ?」

 「どう考えても先生のせいでしょ!ずっと閉じ込めておいたくせに!」


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