雨上がりに僕らは駆けていく Part1

試合

第６９２話

　校門でみんなと別れ、一直線に家に帰ることにした。

　さっさと家に帰って、シャワーでも浴びよう。

　帰りにパンでも買おうかな。

　屋台で色々買う予定だけど、お腹空いたし…

　大通りに出たあと、少しだけ速く歩くことにした。

　すこしだけ、といっても、それはほんの気持ち程度。

　スッと伸びていく自分の影が、街の表面とすれ違うように伸びていく。


　駅からは歩いて帰れる距離だけど、普段は自転車を使う。

　でも今日は徒歩だった。

　電車で最寄りまで帰り、いつもの道を歩いてた。

　今日はなんだか、歩いてみたい気分だった。

　移り行く建物の影と、見慣れた看板や路地のポスター、それから、信号。

　線路を跨いだ水路沿いの道を進んでいって、いつものコンビニが見えた。

　綺麗な店員さん(多分大学生？)がいるコンビニ。

　今日は出勤してるかな？

　とりあえずなんか買おうっと。

　そういえば、今日は水曜日か。

　出てるかなー、ジャンプの最新刊。


　「いらっしゃいませー！」


　真っ先にスイーツコーナーに立ち寄り、カフェラテをまずはゲット。

　てか財布に今どれくらい入ってたっけ？

　１０００円はあった気がするけど…


　ポケットから取り出して中身を確認するとギリギリ１０００円あるかないかだった。

　まあ、ひとまずは大丈夫か。

　帰って補充しないとな。

　でも母さん、今日帰り遅いって言ってたしなぁ

　最悪梨紗の貯金箱から借りようか。

　祭りまでに間に合わないと何も買えなくなっちゃうしね。


　シュークリームを手に取り、お会計は４２０円とちょっと。

　お姉さんには会えなかったけど、お目当ての商品があったからまあ良しとしよう。

　
　コンビニを出て真向かいの道を進んでいくと、昔通っていた小学校のグラウンドが見えた。

　昔、この学校で、仲の良い友達がいた。

　名前は確か、…千冬…ちゃん、だっけ？

　５年生までの付き合いだったから、あんまりよく覚えてないんだ。

　だけど学校の終わりに一緒に帰ったり、そろばん教室の裏の川原で、どっちか遠くまで石を飛ばせるか対決したり、ゲーセンで遊んだり。

　いつも隣にいた。

　初めて出会った時から、なんでも話せた。

　まるで昔から、同じ世界にいたかのようで。