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墓標のない土地
第556話
しおりを挟む「リョウ??」
「剣道やってる…よね…?」
沙希はハツと顔を合わせ、たどたどしい口調でこう言った。
「やっとる…と思うけど…」
なんだその曖昧な返事は。
亮平といい沙希といい、シャキッとしないなあ
「やってる…、で、オーケー?」
「う、うん。そうやけど、なんで?」
「…なにが、なんで?」
「いや、逆になんで?」
沙希は困惑してた。
ハツもだ。
なにか変なこと言った?
心当たりがなさすぎてビビる。
「記憶でも喪失したん?」
「…え?」
「…いや、…ケンドーって、あの「剣道」やろ?」
「それ以外に何があるん?」
「え…、もしかしておちょくっとる?!」
…なんで、そうなる??
真面目に聞いてるんだけど??
…でも、待てよ…
冷静に考えたら、おかしいのは私の方なのか?
2人からしたら、亮平が剣道部かどうかなんて考えるまでもないことだ。
仮にここが、「過去」のままだとしたら…
「ゴ、ゴホンッ!」
「楓?」
「いや、なんでもないよ諸君」
「いやいや、気になるやん」
「いやぁアイツに会っとったんよさっき」
「リョウに?」
「うん。剣道部辞めるって言うからさ??」
「え、なんで!?」
「理由はこれから聞くけど…」
とっさに嘘をついてしまった…
ごまかそうにも微妙な雰囲気だったし、まあ、テキトーに
2人の反応的に、余計なこと言っちゃったかも
ま、…まあ、未来のことを言ってるわけだから…
ちょっとフライングしちゃっただけで、8割型嘘じゃないよ?
夏の大会が終わったら、学校にも来なくなるんだ。
剣道をやめるだけじゃない。
そんなこと、いちいち言わないけども
キョンキョンが教室に入ってきて、会話は中断された。
驚く表情の2人。
脱ぎ散らかした体操服。
けど、おかげでわかったことがある。
亮平が剣道をやってることも。
2人が、私の知ってる2人だということも。
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