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明日への道
第422話
しおりを挟むどうして時間が変わっているのかはわからなかった。
でも、今はとにかく走らなきゃいけないと思った。
…ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ
ペダルを踏む。
地面を蹴る。
走れ、
走れ走れ走れ走れ!!!
考えている時間はない。
ブレーキは踏めない。
何が起こっている?
どうすればいい?
そんなのは全部、後回しだ。
彼のところに行かなきゃ。
彼に会える距離に行かなきゃ…!
海岸沿いの国道2号線。
駅前のT字路。
まだ、間に合う。
全力で走れば、…まだ。
瞳の中に映ったのはフラッシュバックする世界だった。
渋滞する道。
赤と青の交錯する交差点。
なにがどうなってるかの理解を探すよりも、視線は泳ぎ、覚束なかった。
周辺にいた人が倒れた亮平の元に駆けつけ、その隣には凹んだ軽自動車と、車輪の曲がった自転車があった。
「救急車!」
という誰かの声が聞こえた。
その声が、どこから聞こえてくるのかもわからなかった。
排気ガスと磯の匂い。
焦げるほどの朝の陽光が、街の中心に降りていることも。
「亮平!」
間に合わないなんてことはない。
電話だってかけた。
あんたに追いつけるように。
「亮平…!亮平!」
体を揺する。
反射的に叫び続ける。
意図した言葉は出てこなかった。
ただ叫んだ。
叫ぶより他に方法はなかった。
どうして叫んでいるのかも、自分ではわからなかった。
なんで倒れてるんだ…?
なんで、また同じように…
いつものように声を聞かせてよ。
くだらない、他愛もないことを喋ってよ。
目を閉じてるあんたなんて見たくない。
冗談も言えないあんたなんて、見たくないんだ。
…だから
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