雨上がりに僕らは駆けていく Part1

キミがいる街

第３８４話

　「結局、どうしたいわけ？」

　「どうするもこうするもないよ。でも、もう一度あんたに会わんといけん」

　「「50年後から来た俺」ってやつに？」

　「うん」

　「なんで？」

　「…なんでって言われても、よくわからん。でもキーちゃんの記憶が残ってるうちに、話しておきたいんや」

　「話すって、何を？」

　「色々や。なんであんなことが起こったんか、もしかしたらわかるかもしれんし」


　“あんなこと“というのは、この世界に来る前の、直前の出来事のことだ。


　あの時、亮平が死んだ。


　この目で見た。

　思い出したくもない。

　でも、どうしても思い出す。

　弾薬と血のにおい。

　1発ずつ響いた銃声。



　なんでキーちゃんが銃を持っていたのか、いまだに分からない。

　キーちゃんの記憶の中にも、その情報は存在しなかった。

　そもそも、あの時あの場所にいたのは、「キーちゃん」じゃない。

　でも、それが”誰”だったのかは、謎のままだ。

　確か、私に向かって、名前を言ってた。

　…何か、聞き慣れない単語で…

　思い出そうとしたけど、わからなかった。

　記憶が途切れ途切れで、思い浮かぶのは木に横たわる亮平の姿と、不気味なほどに冷たい瞳のキーちゃん。


　なんにしても、もう一度アイツに会わなきゃ。

　自然とそう思えた。


　「まあ、健闘を祈るよ」

　「真面目に聞いてないよな？」

　「…そんなことないで？」

　「嘘。顔見りゃわかる」

　「へえ。じゃ、今何考えてると思う？」

　「やべー奴やなって思っとるやろ？」

　「…そんなことないって。一応信じようとしてるんやで？おじさんから聞いたことは、それなりに信憑性はあったし」

　「ほんなら、テキトーなこと言うな」

　「言ってない。…まあでもぶっちゃけ、「タイムリープ」なんて…、とは思ってる」

　「…うん」

　「ほら、自分でもそう思ってるやん？」

　「そりゃ思うわ。でも思ったってしょうがないやろ？色々起こりすぎてて、キリがないんや」

　「これからどうするん？」

　「おじさんのとこにまた行きたいけど、とりあえず家に帰る」

　「岡山に？」

　「そ」