雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香

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「今」を越えられるスピード

第312話

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 なんの話かわからない。

 『野球をやめる』

 って、どう言う意味だ?

 キーちゃんと私は、高校に入ってからは、ソフトボール部を選んだ。

 野球は軟式がなかったっていうのと、硬式はマネージャー枠しかやらせてもらえないっていうのがあって。

 …というか、さすがに硬式で野球を続ける予定はなかった。

 キーちゃんも、私も。

 ただの趣味って感じ。

 楽しく部活ができればって、言ってたし。


 「なんの話かわからない」

 「…まあ、お前が決めたことなんやし、深掘りはせんけど」


 ため息まじりにそう話すのは、どういう気持ちからなんだろう?

 野球をやめるって、つまり、キーちゃんは高校でも、野球を続けてたってこと?

 マネージャーじゃなく、選手として?

 

 いまいちピンとこなかった。

 なにがどうなってるのか。

 亮平はバットを振りながら、遠くを見てた。

 バットを振る音は、昨日今日じゃ身に付かない音を出してた。

 風を切るような、鋭い音を。


 「3泊するって言っとったが、明後日には帰るからな」

 「明後日?なんで?」

 「…なんでって、ちょうど3日後が大会やし」

 「大会!?」


 「とぼけんな」と言われたが、とぼけてない。

 ってかいい加減、うんざりしてきた。

 しょうがなく会話を続けながら、衝撃的な事実を知る。
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