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【第4章】アナザーワールド
第222話
しおりを挟む階段を登り、『開けるなキケン!』と書かれた謎のドアプレート。
ドアを開け、中を見る。
しわくちゃになったベットのシーツ。
ゲームセンターかどっかで取ったような、わりと大きめなピカチュウのぬいぐるみ。
勉強机は程よい大きさだけど、色々なものが置いてあった。
教科書に筆記用具、…に、大量のシャクレルプラネットのフィギュアたち。
なんでこんなの集めてるんだ…
と思いつつ、棚の上のシェルボトルを見た。
そのボトルには、貝殻が入っている。
ピンク色のサクラガイ。
まるでその貝殻は、地元の海に転がっているサクラガイのものと、よく似ていた。
私も自分の部屋に置いていたんだ。
キーちゃんと海で初めて出会った時に、拾ったものを。
もちろん、この部屋にある貝殻は、“私”のじゃない。
似ているけど、違う。
だけど見覚えがある気がしたのは、私にとってのサクラガイは、大切な宝物だったからだ。
さらに部屋を見渡した。
部屋の奥の本棚に並べられた漫画や雑誌、——洋楽POPのアルバム。
白い家具たちの中に、アクセントで散りばめられた黒色のコーデ。
グレーのクロス。
カフェにありそうなイームズチェアに、紺色のカーディガンが無造作にかけられている。
飲みかけのポカリスエットや、ハンドメイドのアクセサリー。
潰れかけのもちもちフロアクッションは、膝掛けのブランケットと一緒に床に放り投げられていた。
8畳の部屋には大きすぎるくらいの40インチのテレビ。
風に揺れているレースカーテン。
他に、見覚えのあるものはない。
…だけど貝殻だけは、なぜか気になった。
一体誰の部屋なんだ…
ここは…
勉強机の棚の上に、写真入れのようなものが見つかった。
パラパラとめくり、中身を見る。
そこにいたのは「私」だった。
…私だったけど、その写真に写っているものは、記憶にないものばかりだった。
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