雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香

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第136話

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 「君ハ特別ナ存在ナノ。君ガ思ウ以上ニ」

 「特別…?」

 「ソウ、特別」


 意味がわからなかった。

 「特別」という言葉の意味も、キーちゃんが話そうとしている言葉の意図も。


 「亮平ガ未来カラ来タトイウ話ハ、信ジテル…?」

 「…え、あ、うん…」


 「信じる」というより、信じざるを得なかった、という方が正しい。

 自分自身に起こった出来事を、現実に置き換えるとするなら…


 「私モ同ジ、未来カラ来テイル」

 「キーちゃん…も…?」

 「ソウ。「未来」カラ…。遠イ未来カラ」

 「…待って、ついていけないよ…、キーちゃん」


 なにから理解すればいいのか、そのアテになるものも見つからない。

 未来から来ている…?

 亮平は言っていた。

 未来から来ているのは、「未来の自分の記憶」だと。

 だから尋ねた。

 自分が理解している範囲で。


 「未来の人格や記憶が、ここにあるってこと…?」

 「…ソウ。詳シイコトハ、彼カラ聞イテイルンダネ。楓ノ言ウ通リ、「未来カラ来テイル」トイウノハ、アクマデ記憶ニ過ギナイ。デモ、ソレヲ繰リ返シテイルノ。何百年モ、…何千回モ」


 それも、“理解”はできた。

 亮平から聞いた、未来で研究されていたプロジェクトは、私たちがその生命を存続できるように、未来ではなく、「過去」に記憶を受け継がせる、——というものだった。

 それを何度も繰り返すことで、未来の人たちは「永遠の命」を実現しようとした。

 人間という記憶、——「脳」を通じて。


 …だから、キーちゃんが言った「何百年」という時間単位は、きっとそう言うことなんだと思った。

 
 でもわからない…


 未来から来たという「話」もそうだし、何百年も…なんて、どうして…


 そもそも、亮平の話自体を、ほんの少ししか理解できていない。

 未来のプロジェクトなんて、聞き流し程度にしか耳に入れていなかった。

 亮平が未来から来ているかもしれないと言うことも、まだ、…疑う部分があった。


 「未来ノ「私」ガ、選択シタコトナノ」

 「…え?」

 「何百年モ、時間ヲ遡ッテイルコトハ」


 
 
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