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未来の記憶

第113話

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 そうだよ!と突っかかった。

 直前の記憶を思い返す。

 なにがあったか、なにをしていたか。

 男は私の言葉を理解していないようだった。


 「いやいや、待て待て、そもそもそれは「いつ」の話や?」

 「いつって、…そりゃ、…さっきというか、…とにかく、2013年のこと!」


 必死に訴えかけようとした。

 自分がいた「世界」のことを。

 仮に自分が2022年に来ているのだとしたら、「彼」に伝わるように言わなきゃいけない。

 …でも、どうやったら


 「2013年?」

 「うん!見に行こうって言うたやん!」

 「…待て待て、2013年に、未来から来た「俺」が、隕石を見に行こうって…??…50年後?アキラや綺音?なんやそれ」

 「…なんやそれって言われても…、あんたが言うたことなんやで?」


 考え込んだ挙げ句、彼は首を傾げたままだった。


 「言うたことって言われてもなぁ…。…なぁ、ほんまにまじめに話しとる?」

 「大真面目や!あんたこそちゃんと聞いとる…?」

 「…うーん、いや、…まあ」

 「…なんやそれ」


 彼は一向に耳を傾けようとはしなかった。

 それに「50年後の未来」のことについても、なにも知らないと言った。

 だから困った。

 まるで、私が変な話をしているみたいで…。


 「でもたしかにあんたは「未来から来た」って言った!それは間違いないんや…。ここが2022年なんかどうかは知らんけど、あんたがそう言ったんやで…?」

 「まあ待てや…。そもそも、「過去」から来たってなんなん?」


 彼は、終始そのことを口にした。

 理解できないようだった。

 過去から来たこと。

 2013年という数字。

 私自身の身に起きている、「現象」について。


 「…そろそろ、仕事に行かんといけんのやけど…」

 「待てって…!まだ話は終わっとらんやろ?」

 「過去から来たなんて、急にそないなこと言われても…」

 「…っていうか、ほんまに知らんの?」

 「なにを?」

 「今話したことや!あんたが私に言ったこと!」

 「50年後の未来ってやつ?」

 「そうそう!」

 「…知るわけないし、大体アキラや綺音って誰のことなん?」


 …


 …え?


 耳を疑った。

 アキラや綺音を知らない?

 いやいや、私たち同級生でしょ?

 クラスメイトだよ?

 忘れるわけないよね?
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