雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香

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星の降る夜

第94話

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 「…なんかあったっけ?」

 「夜空に落ちた火球、覚えとらん?」


 その言葉を聞き、ハッとなった。

 年末に降った、大きな流れ星のことを。


 亮平が言う「火球」というのは、しばらく神戸の街の噂になった。

 全国ニュースで報道されたくらいだったから。


 火球には名前がつけられた。

 『三ノ宮さんのみや隕石』

 と。

 理由は単純だ。

 神戸市中央区の三ノ宮の地区に、その隕石が落ちたからだ。

 「隕石」と言っても、そこまで大きなものじゃない。

 直径30センチメートルくらいのものだ。

 30センチといっても、専門家によれば蒸発し切らずに地上に落ちてきたこと、しかもそれが人が住む場所に落下してきたことは、かなり珍しい出来事だと語っていた。

 三ノ宮にある10階建てのシンフォニーホールの屋上に落下した「それ」は、屋上のコンクリートを突き破って8階のフロアまで侵入し、大きな衝突音を出して周囲の人を驚かせた。

 私はその一部始終を、家の二階から目撃していた。

 夏の花火のように明るく眩しい光が、ガラスの窓越しに見えたんだ。

 なんだ!?と思って、びっくりした。

 まさかそれが、隕石だと思いもしなかった。


 「確かあの日は、神戸湾におったんや」

 「何しに?」

 「仲間と一緒に、ツーリングしとった」


 『仲間』…ね。

 どうせろくでもない不良連中のことでしょ?

 中学生だと言うのにタバコを吹かして、免許も持ってないのにバイクに乗ってるヤツら。


 「あんたも見たん?」

 「見た見た。ポートアイランドの臨港道路を突っ走ってたんや。そしたら夜空が急に光った。一瞬花火かと思ってな」


 その日は、確かアキラからもラインがあった。

 “すごく明るい流れ星見た”って。

 私がその光を見てから30分後くらいだったかな?

 「私も見た!!」って、興奮気味にスタンプを押し合ったっけ笑

 まあ、あの日、アキラとのラインどころじゃなかったんだけどね…


 
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