雨上がりに僕らは駆けていく Part1

平木明日香

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変わり果てた幼なじみ

第30話

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 「私、家に帰るわ」


 パフェを完食して、カフェオレを飲み干す。

 その間にも、亮平は理解できない言葉を吐く。


 その話に、嫌気が差したわけじゃない。


 オニオンズを出て、家に帰った。

 追いかけてくる亮平を振り払い、ダッシュで自分の部屋に戻る。


 「どこ行ってたん?」


 家族の誰かが発したその声に振り向きもせずベットの中に潜り、夢なら早く覚めろと目を閉じる。

 私が今いるこの世界が「どこ」なのかを探ろうとすることが、どれだけ「変」かを正確に測ることはできない。

 だけど目の前で起こっていることが、「変」であることはハッキリ分かる。

 なにも考えないようにしたってダメだ。

 目を開ければ、夏の日差しに晒されていたはずの季節の色が、前触れもなく変わっている。

 海にあったはずの瑞々しい夏の青さは、どこまでも冷たい冬の向こうに消えてしまった。


 みんな、どこに行っちゃったんだろう。


 外に出かけても状況はなにも変わらない。

 むしろ、余計に混乱してしまうだけだ。

 久しぶりに再会した幼馴染はとんだ変人と化していたし、カレンダーは2013年に逆戻りしてる。

 考えれば考えるほど、今の状況がカオスすぎる。



 …これからどうすればいいんだ。


 どうなるかを期待したいわけじゃないけど、ただただ不安だ。

 自分が「生きてるか」どうかも定かじゃない。

 ひょっとしたら、本当に死んでるかもしれない。

 体はどこも痛くないし、ひとまず異常は無さそうだけど、自分が「生きてる」って確証を持つには、自分が今「現実」の中にいるという事実を、目に見える形で確認したい。


 心臓に手を当てる。


 私はその「音」を信じて良いのだろうか?


 いつもと変わらない日常の中に、この「音」は存在してるのだろうか?
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