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【第1章】未来から来た少年
第13話
しおりを挟むプルルルルルrr…
かけた連絡先は、高校の友達だ。
今日、一緒に花火大会を見に行く友達。
友達というより、親友に近い。
名前はキーちゃんって言う。
桐崎千冬。
通称『キーちゃん』。
(あれ…、出ないな)
電話を切ってしゃがみ込む。
地面は雪で覆われていた。
10センチは積もっているかも知れない。
場所によってはもっとか…。
夜中から降っていないと、こうはならない。
というか、雪が降っているということ自体が、どう考えてもあり得ない。
なんなんだ、…この空は。
風はびゅうびゅう吹いてるし、口からは湯気が漏れている。
「おお、さぶ」
家に戻ってエアコンを付け直し、梨紗(妹のこと)にセーターを貸せと促した。
梨紗はもちろん嫌だと言ってきて、代わりに一枚の毛布を渡してくれた。
毛布に身をくるんで寒気のする体を慰めながら、季節外れのクリスマスイヴの歌を聞いた。
ジングルベルジングルベル
聞き慣れたこの歌のリズムは、なぜか、心の中を落ち着かせてくれた。
落ち着くって言うより、どちらかと言えば「ああ、冬だな」って感じることかな。
今が冬なんてことは絶対あり得ないはずなのに。
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