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730ナターシャ2

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******(ヤマト)

後ろから巨大な魔力の放出を感じたガゼルス将軍が視線を移すと、ヤマトが闇に飲み込まれ闇が膨れていくのが見えた。
その闇から現れたのは5mはある巨大な魔獣。その額に金色の模様が描かれた美しい漆黒の猫。
アダンダラの成体の姿だった。

『先程、拓の魔力を受け取り元の姿に戻る事が出来た。退けハイオーガ。』

元の姿に戻った私は風魔法が放を放ちヨハン王子と戦っていたハイオーガを吹き飛ばす。
やはりこの姿に戻ると、扱える魔力量が違う。
久しぶりの全力を試させてもらうぞ。
私は魔力を練ると、全身の毛が逆立つ。

「サリナ様伏せて。アダンダラの雷魔法は周囲に対する放電です。」

ポトリ教授はサリナ姫に飛びついて、地面に伏せる。
心配無用だ。私には拓が作った魔道具がる。
私の魔力は魔道具に集約されハイオーガ1体に雷を落とした。
やはり強いな、完全に倒す事は出来ないか。

「ヨハン王子、止めを。」

リッチに言われ、雷で焦げたハイオーガの口に炎帝剣を突き立てた。
私は続けてリッチが押さえつけているハイオーガにも雷を落とそうとしたが、先に強力な火と風の魔法の攻撃を受けてしまう。
後ろにはリッチやサリナ姫、ポトリ教授が居る。
この程度の魔法・・・私は強力な風を纏い攻撃魔法を避けずに受け止める。

『リッチ。全力で縛り上げろ。一気に倒す。』

リッチの魔力が上がり、ハイオーガの動きを完全に封じ込めた所に雷を放った。
1体は力を無くしリッチのダークマインドで体を支えられていたが、もう1体は風魔法で防いでいた。

『もう一発行くぞ。』

魔力を練ろうとすると、体から力が抜けていく。

『にゃんで、こんな事に。』
『拓殿の魔力を体に馴染ませる前に、無理に成体へと変化したためだろう。』

プリティでキュートな姿に戻ってしまったにゃ。
今は可愛らしさより力が必要だというのに・・・

『十分だ。サリナ姫とポトリ教授を頼む。』
「ヨハン王子、行けますか?」

リッチに言われ、ヨハン王子が残った1体に向かって走り出す。
ハイオーガはリッチとヨハン王子に向かって風魔法を使うが、リッチはダークマインドで体の自由を奪い狙いを定めさせない。
ヨハン王子の剣が炎を纏い攻撃を仕掛けようとすると、ハイオーガは体に風を纏ってヨハン王子を吹き飛ばす。

「大丈夫です。未だ行けます。」

立ち上がったヨハン王子は剣を構え直すと、再びハイオーガに向かう。

「小賢しいわね。そのままくたばってしまいなさいよ。」

ナターシャはハイオーガの魔法攻撃をヨハン王子へ集中させる。
近付けば流石にリッチのダークマインドでも魔法攻撃を逸らすのは難しいが、ヨハン王子はギリギリのところで避けていた。

「飾り物の雑魚の癖に。なら、これで終わりよ。」

ハイオーガに強力な魔法を使わせようとした瞬間、強力な雷魔法がナターシャを襲う。
一瞬できた隙にヨハン王子は一気に距離を詰めた。
全ての魔力を剣に込めると、炎帝剣は青白い炎に包まれる。
そして剣を振りかぶると、ハイオーガの頭を叩き割った。
リッチがダークマインドを外すと、そのまま倒れるハイオーガ。そしてヨハン王子は膝をつき、吾輩は魔力が枯渇してその場に倒れてしまう。

「この黒狸。良くも邪魔をしてくれたわね。」

『吾輩は、拓と浩司を守らなければならないのにゃ。』

吾輩は立ち上がろうとしたが、ナターシャの攻撃魔法で吹っ飛ばされ意識を失った。
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