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726アーク3

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******(ロウガ)

目が潰れていない赤いハイオーガに対して魔法の集中砲火。

「ダニエル、頼む。」

ダニエルの作り出したシールドを足場にして、赤いハイオーガとの距離を一気に詰め剣に魔力を込める。
魔力が枯渇しそうだが、最後の一撃が放てれば良い。
赤いハイオーガが俺に気付いて攻撃を仕掛けようとしてきたが、ダニエルが腕の前にシールドを張った。
シールドは赤いハイオーガの力によって簡単に破壊されてしまったが、一瞬だが攻撃を遅らせる。
十分だ・・・俺は剣に炎を纏わせ残った全ての力を乗せた一撃を放つ。

俺の剣は赤いハイオーガの頭に食い込み、致命傷を与えた・・・が、
勢いが付いた赤いハイオーガの拳は、完全に俺を捉えて吹っ飛ばされた。
ミスリルの鎧はひしゃげ、骨が折れ、内臓に刺さったのが自分でも分かる。
それを見た誰かが叫びながら駆け寄って来るのが分かるが、目が見えない。

「倒せ、ハイオーガを全滅させろ。」

何とか声を絞り出した。
俺の役目はこれで終わりか・・・
仲間を失い、拓に助けられ、最後は拓の壁となる事が出来た。
ハンス、アクセル、ダニエル、フェリックス
この4人なら大丈夫だ。
先に行った仲間に、拓や浩司、ラグテルの町・・・話したい事が沢山ある。
あいつ等、きっと驚くだろうな。
そして、俺もこの後の出来事を聞いて、驚くのか・・・
やはり、拓や浩司のしでかす事を最後まで見たかった。


頬を叩かれる感覚で、気付いたが目を開けても真っ暗だった。
そんな俺に水が掛けられ、何かを飲まされる・・・これはポーション・・・

「ハイオーガはどうなった?」

意識がはっきりしてくると、周りにいるであろう仲間に問いかける。

「あそこを見ろ、残った赤いハイオーガも問題無く倒した。」

ハンスの声が聞こえるが、やはり俺には何も見えない。

「皆は大丈夫なのか?」
「あぁ、全員目の前に・・・もしかして、目が見えていないのか?」
「何も見えていない。ポーションでも視力を治すことは出来ないみたいだ。」

ポーションを使っても、視力が回復することは無かった。
ハンスによると、残った1体の赤いハイオーガは同士討ちもあり、あと一歩で倒せる所まで来ると
魔力暴走をさせ自らの命を絶っていた。
他のハイオーガはその爆発に巻き込まれて絶命
仲間はダニエルが盾で守ってくれたのだが、戦いの中利き腕を失っていた。
腕は爆風で吹き飛ばされ、回収は出来ないでいた。



「俺を置いて先に進め。」

ポーションを使ってみたが、俺の視力は戻らず、体に力も入らず足手まといにしかならない。
俺達はOZの壁になると誓った。
こんな所で、立ち止まっている訳にはいかない。

「駄目だ。俺達の目的を忘れたのか。全員で食事をするんだろ。
 最後の最後まで足掻け。お前は俺達アークのリーダーだろ。俺達の前で諦める姿を見せるな。」

この声はダニエルか・・・本当に余計な事を言ってくれる。

「分かったよ。お前だって片腕なんだろ。」
「失ったのは剣を持つ方の腕だ。盾なら十分に使いこなせる。」
「他は全員動けるのか?」
「あぁ」「問題無い」「何時でも行けるぞ」「後はロウガだけだ。」

俺はハンスの肩を借りて立ち上がると、OZ達の後を追った。
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