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717砦の戦い4
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******(ゴルゴ)
「ビモスだけを狙え。」
俺が指示を出すと球がヘビモスに向かって放たれた。
大量の魔獣寄せの薬の効果で、多くの魔獣がヘビモスへ攻撃を仕掛けていく。
「良いか、薬の効果が薄くなったら、追加でぶつけろ。他は無視していい。」
俺は兵士にそう言い残し剣を手に砦の門へと向かうと、バルク・ギルトマスターが居た。
「ゴルゴか。やはりお前等も来たか。
ほう、拓から渡された防具と剣が似合っているじゃねぇか。
いきなり本番だが使いこなせよ。」
「アイツが俺達なら使えると思って渡してきたんだ。だったら、使いこなせない訳ないだろ。」
パーティメンバーも新しい武器、防具を付けて駆けつけてくる。
俺達が砦に向かう直前に渡されたミスリルの防具だ。そして、ミスリルの剣までも。
まるで専用にあつらえたかの様に体にフィットしている。
いや、あいつの事だ。俺達の為に準備してくれていたのだろう。
「よし、冒険者の底力を見せてやる。いっちょ派手に行くぞ。」
「「「おう」」」
バルク・ギルトマスターの掛け声に、俺達は力の籠った声で応えた。
魔獣寄せの薬が切れたところで、一斉攻撃が始まった。
オリバー大隊長の指示で、周囲の魔獣とヘビモスと分かれて攻撃部隊が編成されている。
ヘビモスへの攻撃はオリバー大隊長を先頭にブルネリ公爵、シュミト公爵、ユーケル侯爵、モーゼス、ジークフリート、ベーター、シュン、バルク、そして俺達冒険者で対応。
ロダン侯爵に砦を任せ、周囲への魔獣には爵第一、第二騎士団に任せた。
「大気よ振るえ、我が刃となりて敵を滅ぼせ、エアスラッシュ」
ブルネリ公爵の風魔法がヘビモスを襲い、戦いが始まった。
昔聞いた爆風の魔道師という2つ名は今も健在みたいだ。
しかし、ヘビモスの皮は物理攻撃だけでなく魔法攻撃を跳ね返す鎧。
ブルネリ公爵の魔法は弾かれ、軽い傷を負わすだけだった。
長時間、大量の魔獣寄せの薬を浴び続け大量の魔獣と戦い続けていたため体力、魔力を消耗しているが、それでも非常に強力な魔獣に変わりはない。
「魔法攻撃は目を。剣は足の関節を狙え。」
オリバー大隊長が指示を出すと、剣と魔法に分かれてヘビモスへの攻撃が始まった。
事前にあれだけ戦わせていたというのに、未だここまでの力を持っているのかよ。
しかし、遠目で見ていた時よりも動きが鈍い。
「事前の消耗作戦が効いている。行けるぞ。」
俺は声を上げる。気合で負ける訳にはいかない。
攻撃が続く中、ヘビモスに魔力の高まりを感じる。
「魔法攻撃が来るぞ。」
オリバー大隊長が叫ぶと、ヘビモスの口から強力な魔法が放たれた。
その場から離れて何とか避けたが、目の前の地面がえぐられ、土埃が上がり回りが見えなくなった。
「全員、大丈夫か?」
「ブルネリ無事だ。」「シュミト無事だ。」「ユーケル無事だ」・・・「ゴルゴ無事だ。」
オリバー隊長の叫ぶような声に、それぞれが自分の名前を言う。
全員が何とか避けたが、かすりでもすれば全て終わっていただろう。
土埃の中、ヘビモスは動いていない。今まで他の魔獣と戦い続け、この魔法攻撃はかなりの負担を掛けることになったのだろう。
「チャンスだ。奴の懐に入り込む。」
強力な魔法攻撃を放った後の無防備な状態を見逃さず、俺は走り出す。
幾らヘビモスでも、無尽蔵の力を持っている訳ではない。
それに合わせてバルクもヘビモスに向かって走り出す。
俺達は土埃に紛れヘビモスの足元に入り込むと、足の関節に向かってミスリルの剣を突き刺した。
どんなに強固な鎧を纏っていようと、関節だけは柔らかい。
痛みの為かヘビモスが大きく吠えると、自重を支えきれなくなり巨体が倒れて来る。
「うあぁっ」
俺は引こうとしたが、足を滑らせ倒れてしまう。
俺の上に倒れて来るヘビモスがスローモーションの様に見えていた。
どうしようも無かった俺が、ここまでの事を出来たんだ。上出来じゃねぇか。
ただ一度くらい、拓と酒を飲んでみたかった・・・
「ビモスだけを狙え。」
俺が指示を出すと球がヘビモスに向かって放たれた。
大量の魔獣寄せの薬の効果で、多くの魔獣がヘビモスへ攻撃を仕掛けていく。
「良いか、薬の効果が薄くなったら、追加でぶつけろ。他は無視していい。」
俺は兵士にそう言い残し剣を手に砦の門へと向かうと、バルク・ギルトマスターが居た。
「ゴルゴか。やはりお前等も来たか。
ほう、拓から渡された防具と剣が似合っているじゃねぇか。
いきなり本番だが使いこなせよ。」
「アイツが俺達なら使えると思って渡してきたんだ。だったら、使いこなせない訳ないだろ。」
パーティメンバーも新しい武器、防具を付けて駆けつけてくる。
俺達が砦に向かう直前に渡されたミスリルの防具だ。そして、ミスリルの剣までも。
まるで専用にあつらえたかの様に体にフィットしている。
いや、あいつの事だ。俺達の為に準備してくれていたのだろう。
「よし、冒険者の底力を見せてやる。いっちょ派手に行くぞ。」
「「「おう」」」
バルク・ギルトマスターの掛け声に、俺達は力の籠った声で応えた。
魔獣寄せの薬が切れたところで、一斉攻撃が始まった。
オリバー大隊長の指示で、周囲の魔獣とヘビモスと分かれて攻撃部隊が編成されている。
ヘビモスへの攻撃はオリバー大隊長を先頭にブルネリ公爵、シュミト公爵、ユーケル侯爵、モーゼス、ジークフリート、ベーター、シュン、バルク、そして俺達冒険者で対応。
ロダン侯爵に砦を任せ、周囲への魔獣には爵第一、第二騎士団に任せた。
「大気よ振るえ、我が刃となりて敵を滅ぼせ、エアスラッシュ」
ブルネリ公爵の風魔法がヘビモスを襲い、戦いが始まった。
昔聞いた爆風の魔道師という2つ名は今も健在みたいだ。
しかし、ヘビモスの皮は物理攻撃だけでなく魔法攻撃を跳ね返す鎧。
ブルネリ公爵の魔法は弾かれ、軽い傷を負わすだけだった。
長時間、大量の魔獣寄せの薬を浴び続け大量の魔獣と戦い続けていたため体力、魔力を消耗しているが、それでも非常に強力な魔獣に変わりはない。
「魔法攻撃は目を。剣は足の関節を狙え。」
オリバー大隊長が指示を出すと、剣と魔法に分かれてヘビモスへの攻撃が始まった。
事前にあれだけ戦わせていたというのに、未だここまでの力を持っているのかよ。
しかし、遠目で見ていた時よりも動きが鈍い。
「事前の消耗作戦が効いている。行けるぞ。」
俺は声を上げる。気合で負ける訳にはいかない。
攻撃が続く中、ヘビモスに魔力の高まりを感じる。
「魔法攻撃が来るぞ。」
オリバー大隊長が叫ぶと、ヘビモスの口から強力な魔法が放たれた。
その場から離れて何とか避けたが、目の前の地面がえぐられ、土埃が上がり回りが見えなくなった。
「全員、大丈夫か?」
「ブルネリ無事だ。」「シュミト無事だ。」「ユーケル無事だ」・・・「ゴルゴ無事だ。」
オリバー隊長の叫ぶような声に、それぞれが自分の名前を言う。
全員が何とか避けたが、かすりでもすれば全て終わっていただろう。
土埃の中、ヘビモスは動いていない。今まで他の魔獣と戦い続け、この魔法攻撃はかなりの負担を掛けることになったのだろう。
「チャンスだ。奴の懐に入り込む。」
強力な魔法攻撃を放った後の無防備な状態を見逃さず、俺は走り出す。
幾らヘビモスでも、無尽蔵の力を持っている訳ではない。
それに合わせてバルクもヘビモスに向かって走り出す。
俺達は土埃に紛れヘビモスの足元に入り込むと、足の関節に向かってミスリルの剣を突き刺した。
どんなに強固な鎧を纏っていようと、関節だけは柔らかい。
痛みの為かヘビモスが大きく吠えると、自重を支えきれなくなり巨体が倒れて来る。
「うあぁっ」
俺は引こうとしたが、足を滑らせ倒れてしまう。
俺の上に倒れて来るヘビモスがスローモーションの様に見えていた。
どうしようも無かった俺が、ここまでの事を出来たんだ。上出来じゃねぇか。
ただ一度くらい、拓と酒を飲んでみたかった・・・
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