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710武道大会

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「拓が勝って、今回も懐が潤ったな。」
「正直、ガゼルス将軍の攻撃力を知っていたからな。
 拓に賭けるのは一瞬ためらったが、問題なかった。」

試合が終わり、ガゼルス将軍と俺の体をピース医師に診察してもらい皆の所に戻ってきた時のロウガさんとジークさんの言葉。
ヨギ魔導士がまた胴元となって、賭けを行っていたみたいだ。
普段の俺達の特訓を見ていた兵士達はガゼルス将軍に賭けていたらしい。
やはり、オリハルコンを這わしたガゼルス将軍の持つ剣の威力を見ていればそうなるだろう。

「しかし、土魔法で強い攻撃を連続で行った割には、また嫌らしい小細工をしていたな。」

ガラもわざわざ、嫌らしいという言葉を使わなくても良いと思うが・・・

「ガラ殿、あの様な嫌らしい・・・ではなく、芸の細かい攻撃が有るから強い攻撃が生きてくる。
 しかし、またしても拓殿には負けてしまった。
 まだまだ、特訓が足らないですね。
 浩司殿、次の特訓で私に強い魔法の集中攻撃を行ってくれませんか。」

ガゼルス将軍は、更に強くなる為の特訓を行うみたいだ。

『今回は、連続で繰り出すロックウォールの威力に押されて拓を見失ったからな。
 強い攻撃に対応できれば、もっと面白い試合になっておったじゃろう。
 春までにやれる事はまだまだ有るぞ。』

グリムの言う通りだ。
後悔はしたくない。限られた時間の中で出来る限りの事をやっておこう。


そして、バラン将軍の第3騎士団とブルネリ公爵の私兵の混在の武道大会が始まった。
驚くのは戦闘力が数段上がっている。
この短期間でどれだけの訓練を行ってきたのだろうか。
本当に心強く感じる。
ただ、強い攻撃力に合わせて、怪我の状態も酷い。
俺とピース医師は怪我人の手当てに追われていた。
そして、浩司は試合中に放たれた魔法が周囲に当たらないように、外れた魔法を魔法で打ち消していた。
当然

『浩司、あの威力の攻撃にその無駄な魔力量は何だ。』『攻撃の中心を狙うんじゃ。』

と気の抜けない、グリムによる特訓の場となっていた。
2日間の大会を終え、優勝したのはベータ騎士だった。
優勝した時、彼には珍しく「やったー、勝った、勝ったぞ。」と大声で叫んでいた。
それだけ2日目の代表者の試合は、誰が勝ってもおかしくない接戦だった。
優勝賞品の5得ナイフを受け取ったベータ騎士は、自分の持っている治癒の魔道具を準優勝のシュンという獣人の兵士に渡していた。

その後パーティとなったが、浮かれている者は誰も居なく、皆が試合での戦いの反省会をしていた。
俺は、それとは関係なく食事を楽しんでいたのだが・・・

「拓殿、浩司殿、私の戦いは如何でしたでしょうか。」

ベータ騎士が俺と浩司に籠城していた礼を言った後、何故か自分の戦いについての意見を求めてくる。
正直、魔法なら何とか答えられるのだが武術については適切なアドバイスは出来ない。
とりあえず、仮にベータ騎士と戦うことになったらどう攻めるかという観点で話をすると

「ありがとうございます。拓殿はどの様に相手の攻撃に対応しているのですか。」
「そうですね。俺は相手の魔力や気の流れで察知しているかな。」
「気の流れ?」
「感覚的なものですが、人は動く時に筋肉だけでなく気の流れが起きるんですよ。
 普通に言えば、気配とかそういうもの。」
「そんな奥義を習得されているのですか。」
「「「お~~」」」

ベータ騎士の驚きの言葉に合わせて、俺達の会話を聞いていた騎士や兵士達から声が上がる。
俺の場合、それをオーラという形で見ているので、奥義とは程遠いのだが。
後はアークやクリームに任せて席を外し、浩司とヤマトと少し離れて食事を楽しんだ。
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