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688監視
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俺達がラグテルの町に着いた時は、町の外に大量のテントが設置され
ニックさん達が炊き出しを行うので今日は休むように言われて家に戻ってきた。
サリナ姫やヨハン王子達も一緒で、地下の部屋や地下庭園にテントを張って泊っている。
ピース医師夫婦、トリス錬霊術師夫婦、ポトリ教授が俺達を迎えてくれ
ジレット王国での話と、天地見聞録の話しをさせてもらった。
「ギリス教にその様な歴史が有ったとは。
しかし、これで目的地がハッキリしましたね。」
ポトリ教授が地図で正確な場所を確認すると、完全に街道から外れた湖だった。
「しかし、場所が悪いですね。
ここには巨大な湖が有り、周囲の山からの風を妨げる物が何も無く
冬場は雪を吹き上げホワイトアウト状態になるかと思います。」
今後の行動をどうするか、ポトリ教授が皆に視線を移す。
「拓、浩司、どうする。俺達だけで目的地に向かうか。」
ガラが俺達に問いかける。
「いや、春になってから向かいましょう。
流石に何を探せばいいのか分からいないのに、視界を潰されたら動きようがない。
それに、戦いの連続で手持ちを殆ど使い切ったので、その間に準備もしておきたい。」
もし、ナターシャ達が待ち構えているのなら、今の状態で行くのは危険だ。
そしてオリバー隊長の話しでは、その時はマクニス王国の騎士団も同行する事になりそうだ。
村の開拓についてはサリナ姫から事前に手紙が送られていたが、直接話をする必要が有ると考えていた。
しかし、サリナ姫がマクニス王国へ行く必要もなく許可が下りた。但し、貴族の監視が付く事になったのだが・・・
「サリナ様、お久しぶりです。微力ながら村の開拓の手伝いをさせて頂きます。」
監視はシュミト公爵だった。
ブルネリ公爵と派閥が違い、サリナ姫の行動を問題視し、力の有るシュミト公爵が手を上げた為、他の貴族達も文句を付けられなかったそうだ。
そしてヨハン王子からの手紙が最後の駄目押しになり、早い許可が出たらしい。
早速、ニックさんの所で村の開拓について話し合いがもたれたのだが
OZ、アーク、クリームのメンバーも呼ばれていた。
皆には、前回の内乱で王族を救出する際、シュミト公爵に顔を知られた事は話して有る。
「拓殿、浩司殿、あの時以来だな。
こうして、話が出来るのを嬉しく思う。
しかし、本当に国を滅ぼそうとするとは思わなかったぞ。」
笑うシュミト公爵に、意味が分からない俺達。
そして、初めてジレット王国とギリス教の神殿の状態を知った。
オリバー隊長もニックさんもあえて、話をしないでいてくれたみたいだ。
『まさか、自国の兵士がアンデットとなって向かって来るとは思わなかったじゃろう。
奴等が神を信仰しているなら、拓と浩司は悪魔じゃな。』
『これで毒男の2つ名は拓のものにゃ。』
グリムとヤマトの台詞は置いておいて、1つだけ確認したい事が有った。
「何故、シュミト公爵が開拓の手伝いをする事にしたのです。
まさか、内乱の時の恩を返す為では無いですよね。」
先程まで笑っていたシュミト公爵の顔が真顔になる。
「確かに、それだけの理由ではここには来なかっただろう。
ラグテルの町は、私の理想の姿なんだ。
これだけの規模の町で、領主の命令も無く人と獣人が普通に接している。
下らない貴族の争いで、壊させないために私が手を上げた。」
要らぬ心配をしていたみたいだ。
「それから、爵位は息子に譲る予定だ。
少し先の話になるがラグテルの町に住む事になるので宜しくな。」
話を伺うと、目と鼻の先に建てられているのがシュミト公爵の屋敷らしい。
今は、ラグテルの町の宿に泊っている。
「私からも確認させてもらいたい事が有る。
この村の開拓資金の出所は、拓殿と浩司殿と考えて良いのか。」
シュミト公爵が真っ直ぐに俺と浩司を見る。
「そうです。そして、皆にお願いして力を貸してもらっています。」
「サリナ姫、ヨハン王子、ブルネリ公爵に、有力な商人・・・十分過ぎる人脈だ。
事前に聞いていた要望に対し、ニック殿と先に代案を作っておいた。
これをベースにして、話を進めさせてくれ。
それから、拓殿と浩司殿が開拓責任者にならないなら、
今回の出資金に対する返済方法も決める必要が有る。」
シュミト公爵とニックさんが提案は、ラグテルの町から2日ほど歩いた所に村を作る内様だった。
水源として川が有り、森が開けた場所で農耕地としては十分な場所だった。
500人以上の住人を受け入れるだけの広さも有る。
また、冒険者が活動するのに、宿泊地としても丁度良い。
ただ、資材がマクニス王国での値上がりもあり、俺の方から追加で出資する必要が有った。
お陰で、貯めていた金が一気に無くなってしまった。
出資金の返済は5年後からとし、それなりに上乗せした金額が戻って来る。
家を建てる為の木材や石材の手配は、パウロさん、ヨーゼフさん、ティムさんの方で動いてくれている。
そして、材料の輸送についてはヨギ魔道師が手伝ってくれていた。
材料さえ揃えば、大工が簡単な家の作り方を指示してくれる。
この短期間で、基本的な部分は全て押さえて有った。
ニックさん達が炊き出しを行うので今日は休むように言われて家に戻ってきた。
サリナ姫やヨハン王子達も一緒で、地下の部屋や地下庭園にテントを張って泊っている。
ピース医師夫婦、トリス錬霊術師夫婦、ポトリ教授が俺達を迎えてくれ
ジレット王国での話と、天地見聞録の話しをさせてもらった。
「ギリス教にその様な歴史が有ったとは。
しかし、これで目的地がハッキリしましたね。」
ポトリ教授が地図で正確な場所を確認すると、完全に街道から外れた湖だった。
「しかし、場所が悪いですね。
ここには巨大な湖が有り、周囲の山からの風を妨げる物が何も無く
冬場は雪を吹き上げホワイトアウト状態になるかと思います。」
今後の行動をどうするか、ポトリ教授が皆に視線を移す。
「拓、浩司、どうする。俺達だけで目的地に向かうか。」
ガラが俺達に問いかける。
「いや、春になってから向かいましょう。
流石に何を探せばいいのか分からいないのに、視界を潰されたら動きようがない。
それに、戦いの連続で手持ちを殆ど使い切ったので、その間に準備もしておきたい。」
もし、ナターシャ達が待ち構えているのなら、今の状態で行くのは危険だ。
そしてオリバー隊長の話しでは、その時はマクニス王国の騎士団も同行する事になりそうだ。
村の開拓についてはサリナ姫から事前に手紙が送られていたが、直接話をする必要が有ると考えていた。
しかし、サリナ姫がマクニス王国へ行く必要もなく許可が下りた。但し、貴族の監視が付く事になったのだが・・・
「サリナ様、お久しぶりです。微力ながら村の開拓の手伝いをさせて頂きます。」
監視はシュミト公爵だった。
ブルネリ公爵と派閥が違い、サリナ姫の行動を問題視し、力の有るシュミト公爵が手を上げた為、他の貴族達も文句を付けられなかったそうだ。
そしてヨハン王子からの手紙が最後の駄目押しになり、早い許可が出たらしい。
早速、ニックさんの所で村の開拓について話し合いがもたれたのだが
OZ、アーク、クリームのメンバーも呼ばれていた。
皆には、前回の内乱で王族を救出する際、シュミト公爵に顔を知られた事は話して有る。
「拓殿、浩司殿、あの時以来だな。
こうして、話が出来るのを嬉しく思う。
しかし、本当に国を滅ぼそうとするとは思わなかったぞ。」
笑うシュミト公爵に、意味が分からない俺達。
そして、初めてジレット王国とギリス教の神殿の状態を知った。
オリバー隊長もニックさんもあえて、話をしないでいてくれたみたいだ。
『まさか、自国の兵士がアンデットとなって向かって来るとは思わなかったじゃろう。
奴等が神を信仰しているなら、拓と浩司は悪魔じゃな。』
『これで毒男の2つ名は拓のものにゃ。』
グリムとヤマトの台詞は置いておいて、1つだけ確認したい事が有った。
「何故、シュミト公爵が開拓の手伝いをする事にしたのです。
まさか、内乱の時の恩を返す為では無いですよね。」
先程まで笑っていたシュミト公爵の顔が真顔になる。
「確かに、それだけの理由ではここには来なかっただろう。
ラグテルの町は、私の理想の姿なんだ。
これだけの規模の町で、領主の命令も無く人と獣人が普通に接している。
下らない貴族の争いで、壊させないために私が手を上げた。」
要らぬ心配をしていたみたいだ。
「それから、爵位は息子に譲る予定だ。
少し先の話になるがラグテルの町に住む事になるので宜しくな。」
話を伺うと、目と鼻の先に建てられているのがシュミト公爵の屋敷らしい。
今は、ラグテルの町の宿に泊っている。
「私からも確認させてもらいたい事が有る。
この村の開拓資金の出所は、拓殿と浩司殿と考えて良いのか。」
シュミト公爵が真っ直ぐに俺と浩司を見る。
「そうです。そして、皆にお願いして力を貸してもらっています。」
「サリナ姫、ヨハン王子、ブルネリ公爵に、有力な商人・・・十分過ぎる人脈だ。
事前に聞いていた要望に対し、ニック殿と先に代案を作っておいた。
これをベースにして、話を進めさせてくれ。
それから、拓殿と浩司殿が開拓責任者にならないなら、
今回の出資金に対する返済方法も決める必要が有る。」
シュミト公爵とニックさんが提案は、ラグテルの町から2日ほど歩いた所に村を作る内様だった。
水源として川が有り、森が開けた場所で農耕地としては十分な場所だった。
500人以上の住人を受け入れるだけの広さも有る。
また、冒険者が活動するのに、宿泊地としても丁度良い。
ただ、資材がマクニス王国での値上がりもあり、俺の方から追加で出資する必要が有った。
お陰で、貯めていた金が一気に無くなってしまった。
出資金の返済は5年後からとし、それなりに上乗せした金額が戻って来る。
家を建てる為の木材や石材の手配は、パウロさん、ヨーゼフさん、ティムさんの方で動いてくれている。
そして、材料の輸送についてはヨギ魔道師が手伝ってくれていた。
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