異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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685戦力差

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「まさか負傷者を切り捨てるとは・・・
 怪我人を増やした方が行動を阻害すると思っていたのに。」

『そんな事を言っても始まらんぞ。
 拓、浩司、獣人達の元に戻るんじゃ。
 儂等の勝利条件は、敵を滅ぼす事では無い。全獣人を守る事じゃ。』

グリムに言われ、俺達はこの場を撤退する事にした。
エアウォークで森を掛け抜け、山の方へと向かったが、山道には列をなす獣人達の姿がある。
体力の無い者に体力の有る者が手を貸しているが、俺達が作った時間だけでは足らなかった。

「拓ちゃん、ドーピング剤なんて持ってないか。」
「持っていたら既に使っているよ。着ぐるみ姿でなければ、キスでやる気が出たと思うけど。」
「それ、俺も思っていた。」

そんな話をしていると、森の中から敵兵がゾロゾロと現れた。
ご丁寧に塊でなく横に広がっている。

「ふざけた格好をしているが、お前達が邪魔してくれたのか。」

先頭に立つ兵士が俺達を見て叫んでいる。

「そのふざけた格好をした者に、兵を半分以下にさせられた気分はどんなものだ。」
「おまけに、同士打ちまでして人数を減らしていたしな。」

俺と浩司は怒りを自分達に向ける様に挑発を行っていたのだが

「お前達の実力は認めよう。
 城や神殿を襲ったのもお前達なのだろう。
 しかし、たった2人で500匹もの獣人を守りきれるとでも思っているのか。
 天罰を与えてやる。いけ。」

半分が俺達に攻撃をしかけ、残り半分の敵兵は、獣人達の方へ向かって行った。

「フレイムアロー」「ロックランス」

俺達が攻撃を仕掛けたが、敵が多くバラけて動くので対処しきれない。
その上直ぐに距離を取って俺を包囲すると、魔法を放って来た。
防御に集中させて、攻撃をさせないつもりか。
それ以外の兵士は獣人達の方へと向かって行く。

「ここは俺が引き受ける。浩司は獣人を頼む。」

俺は、浩司への攻撃もシールドを張って全て防ぎ切る。
浩司が獣人達を守るなら、気配を消して接近戦に持ち込むか。
俺が行動に移そうとした時、

「ウォーターカッター」「ロックランス」

攻撃魔法が放たれ、敵を倒す。
敵兵は背後からの攻撃に対応しようと、魔法を放った者を見ると

「お前等の様な下等生物まで何故・・・」

自分達の目が信じられないといった状態になっていた。
そして、魔法攻撃を行いながら切り込んでくる相手に翻弄され陣形は簡単に崩れた。

「まるで、正義のヒーローだな。」
『隠れて出るタイミングを測っていたんじゃないか。』

本当に、カッコ良過ぎるだろう。
それならば、このままサポートを行いながら敵を殲滅させてやる。


******(浩司)

「フレイムアロー」

敵の人数が多過ぎる。
獣人に攻撃魔法を放とうとする兵士達を見て、もう駄目だと思った時

『エアカッターにゃ』

ヤマトが敵兵を倒した。

『しっかりするにゃ。吾輩も居るにゃ。』

拓ちゃんに任されたんだ。俺がしっかりしないでどうする。
エアウォークで山道を一気に駆け上がり敵兵と対峙する。

「ヤマト、行くぞ。フレイムアロー」
『エアカッターにゃ』

敵を近づけさせない様に量を優先している為、俺では狙いが甘く倒しきれない。
これだけの敵から、皆を守りきる事が出来るか・・・

俺が弱気になった時、敵の魔法攻撃が獣人に向かって放たれた。
畜生、間に合わない。その時

「シールド」「ロックウォール」

攻撃魔法が防がれた。
拓ちゃんは前の方で戦っている。一体誰が。

「こんなタイミングで現れるなんて、ずるいだろ。」
『来るのが遅いにゃ。』

獣人を守ってくれるのなら、敵を確実に倒してやる。
よくも拓ちゃんに攻撃をしてくれたな。

「ファイヤーランス」

天罰だと。貴様等は地獄に堕ちろ。

******

「どうして、こんな所に。」

敵兵を倒した所で
俺と浩司はガラやレオ、エチゴさん、アル、そしてアークのメンバーとの再会を喜んでいた。

「拓と浩司が毒をばら撒き、獣人を連れてグランザム王国を出国したと聞いてな。」
「これでも急いで来たんだぜ。」
「まさか、これだけの人数で山を越えるとは思わなかったからな。」
「でも、間に合って良かったですよ。」

グランザム王国に潜入していたバラン将軍の部下が、俺達の行動を報告していた。
報告と言っても、神殿と城で毒がばら撒かれ、武器が盗まれ、獣人達が国から脱出したとの事実だけだ。
状況を知ったオリバー隊長が、俺達の仕業だと確信したらしい。
年配の方も居るので、山越えをせず平地を選ぶと考えていた為、ギリギリの合流になってしまったそうだ。

サリナ姫達もマクニス王国の領地側に待機してくれている。
クリームは他の道の方へ向かているらしい。

詳しい話は後にし、敵兵200人ほどが負傷して森の中に放置されている事を伝え
後始末を任せて、俺と浩司は剣君、斧ちゃんとして獣人達と山越えを優先させる事にした。
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